40. Sultans of Swing 悲しきサルタン

Sultans of Swing 悲しきサルタン : Dire Straits ダイアー・ストレイツ


Sultans of Swing
Alubm : Dire Straits
Dire Straits
  悲しきサルタン
悲しきサルタン

Released: 1978
Written by: Mark Knopfler
Produced by: Muff Winwood

  ダイアー・ストレイツについて:
(Left to Right) Mark , John , Pick , David
 フリー百科事典『ウィキペディア』  

 グループ名の Dire は「恐ろしい」、Strait は「困難」とか「海峡」という意味ですが、述語としては「ひどい苦境」とか「絶体絶命」のピンチとかを表します。 彼らのボロ・アパートでの共同生活を見た友人が冗談で言った言葉をバンド名にしたらしいのですが、なかなかユーモアがありますね。

 そんな彼らがチャンスをつかんだのは、北ロンドンにあるPathwayスタジオを借りて数時間で作られたこの曲のデモ・テープからでした。 これは「奇跡のデモ・テープ」として伝説にもなっているのですが、ある日曜日の午後にラジオ・ロンドンから流されたそのデモ・テープがシンデレラ・ストーリーの始まりとなります。 当時のパンク・ムーブメントの中にあってフィンガー・ピッキングでギター・ソロを延々と奏でるバンドというのはめずらしく、日曜日の午後という時間帯もあって音楽関係者の耳にもとまりました。
 そしてレコード会社との契約にこぎつけるのですが、ラジオ局へのリクエストや、レコード店への問い合わせでも、「あのギター・ソロの曲」―と言えば判ったということです。

 作曲とヴォーカルとギターのマーク・ノップラーは左利きですが、右手でフィンガー・ピッキングをしています。 マークが音楽関係の記者の仕事をしていた時、あまりに遅刻が多いので編集長が同僚を迎えにやると、マークは夜通しボロい椅子に座ってギターの練習をしていたとか。 音楽をやるためにマークが会社を辞めるという時、忠告をしたその編集長は「世界で一番愚かな忠告をした人」―となってしまいました。

 この曲も一緒に歌うにはあまり適していません。 マーク・ノップラーは歌うというより口の中でモグモグやっているボブ・ディランみたいな歌い方だし、テンポも結構速いからです。 この曲は何といってもギター・ソロにつきますね。 歌詞も省略が多くて意味がつかみにくいのですが、適当にモグモグやっているとそれらしく聴こえます。
 日本ではタイトルに「愛の」とか「悲しみの」といった形容詞を付ければ売れると思い込んでいるレコード会社の人間が大勢いて、あの頃の邦題はどれも今読むと恥ずかしいものになってしまいました。

● Sultans of Swing 「悲しきサルタン」を聴く:
(※自動的に再生が始まらない時は、上にある「PLAY」をクリックして下さい)

  ●歌詞と訳詩●

You get a shiver in the dark   暗闇で 思わず身震いが出る
It's raining in the park   公園では雨が降っているけど(※) 
but meantime   それはともかく   
South of the river you stop   川の南側で 立ち止まって
and you hold everything   そして そのままじっとしていると(どこかで)
A band is blowin' Dixie double four time   バンドがデキシーをダブル・フォー・タイムで吹いてる※
You feel alright   気分が良くなるだろう
when you hear that music ring   そうした音楽が鳴っているのを聴くと   

And now you step inside   そして(店の)中に入ってみると
but you don't see too many faces   あまり多くの顔は見かけない
Comin' in out of the rain   こんな雨の中を出かけて   
you hear the jazz go down   ジャズを演(や)るのを聴きに来るなんて(物好きは)
Competition in other places   (音楽の)コンペティションは他にもあるけど
Oh, but the horns they blowin' that sound   でも あんなサウンドを吹けるホーンのグループは
Way on down south,   南の地域では、
way on down south London town   ロンドン街の南の地域では(見かけない)

You check out Guitar George,   ギターのジョージを見てみろよ
he knows all the chords   彼は全てのコードを知ってるんだ
Mind he's strictly rhythm リズムを忠実に刻むことを心がけて
he doesn't wanna make it cry or sing   泣き(のギター)や歌う(ギター)は演りたがらない
And an old guitar is all he can afford   その古びたギターだけが 彼にも持てる余裕の全てさ
When he gets up under the lights   彼がライトの下に立つ時
to play his thing   彼の持ち物(ギター)でプレイするのさ

And Harry doesn't mind    そして(ピアノの)ハリーは気にしない
if he doesn't make the scene   もし彼がその場(演奏)にいられないとしても
He's got a daytime job,   彼は昼の仕事を持っていて
he's doin' alright   問題なくやっている
He can play the honky tonk like anything   彼はホンキー・トンクをとても上手くプレイするけど※
Savin' it up for Friday night   それは金曜日の夜のためにとって置く
With the Sultans...    サルタンズと一緒に、
with the Sultans of Swing    サルタンズ・オブ・スウィングと一緒に(プレイするために)

And a crowd of young boys   そして若い連中の一群は   
they're fooling around in the corner   (店の)片隅でぶらぶらしている(※)
Drunk and dressed in    飲んで 着飾って
their best brown baggies and their platform soles  最上の茶色のバギー(パンツ)と高底(靴)で
They don't give a damn   彼らは少しも気にかけない(※)
about any trumpet playing band   トランペットを演奏するバンドには
It ain't what they call rock and roll   それは彼らがロックンロールと呼ぶものじゃないから
And the Sultans...    そしてサルタンズは、
yeah, the Sultans play Creole,   そう、ザ・サルタンズはクリオールを演(や)るのさ(※)
Creole...   クリオールを・・・

(間奏)

And then the man   そして次に一人の男が、
he steps right up to the microphone   マイクロフォンの前に歩み寄り
And says at last    そして やっと口を開いた、
just as the time bell rings   (終了の)時を告げるベルが鳴ると同時に
'Goodnight, now it's time to go home'   「お休みなさい、もう家に帰る時間だから」
And he makes it fast   それから彼は早口で
with one more thing   もう一言を付け加えた
'We are the Sultans...   「我々はザ・サルタンズ、(※)
We are the Sultans of Swing'   我々はスウィングのサルタンズでした」

(ギター・ソロ&フェイド・アウト)


※ in the dark と in the park で韻を踏んでいる
※ Dixie double four time : デキシーは「ディキシーランド・ジャズ」で「ニューオリンズ・ジャズ」とも呼ばれる。
ベースになっているテンポの倍の速さでアドリブ(即興)を行なう 「ダブル・タイム」 の手法で、4ビートを8ビートで演奏してスウィング感を出しているということでしょう。
※ honky tonk : ジャズ風のピアノの演奏様式。「ブギウギ」とも。普通の意味は「安っぽいキャバレー」のこと。
※ like anything :(話)「とても~」くらいの意味。 「そんなもんさ」という使い方もあり。
※ fool around : (英)「ぶらぶらして過ごす」
※ don't give(care) a damn : 「少しも構わない」
※ Creole : ルイジアナ州に定住したフランス系移民の子孫という意味が一般的。 
エルビス・プレスリーに『King Creole』というニューオーリンズが舞台の白黒映画があって、その映画のサントラの中に「King Creole」という曲が入っています。 マーク・ノップラーはプレスリーのファンを自認する曲(コーリン・エルビス)がありますが、ここではたぶんロックンロールとクリオールを掛けて韻を踏んでいるのでしょう。 クリオールという音楽スタイルが実際にあるのかどうかは判りません。「the Sultans of Swing」 というグループ名だって架空のものですから。
※ Sultan はイスラム世界の専制君主のことだか、ここでは架空のジャズ・グループ名となっている。 
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テーマ : 洋楽歌詞対訳
ジャンル : 音楽

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No title

先日、東南アジアの片隅のバーに立ち寄った時、この曲を現地のバンドミュージシャンが演奏しているのを聴き、懐かしく思いました。

78年の曲だったのですね。
私は高校生。
このような”洋楽”を聞いてヨーロッパやアメリカにあこがれておりました。

数々の懐かしい曲を訳されているのですね。
お休み中のようですが、
たいへん参考になりました。
ありがとうございました。





マサさん、こんにちは

この曲はずっと以前に採り上げたので、私自身すっかり忘れていましたが、懐かしいですね。
こうしてコメントでも付かないと古い記事を開くことも無いのですが、おかげさまで曲のリンク切れを直すことができました。

音楽はその曲が流れていた頃の記憶と結びついていることが多いので、人それぞれに色んな思い出がよみがえってくるのではないでしょうか。

昨年の暮れあたりからブログをお休みしていますが、休んでいるとまたやりたくなってくるもので、そろそろスポット的に再開しようかなと考えているところです。
コメント、ありがとうございました。
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Sumi Haruo

Author:Sumi Haruo
昨年まで老母の介護をしていました。 古い記事へのコメントも大歓迎です。
※記事へのリンクは自由ですが、対訳はあくまでも私個人の解釈なので、訳詞の転載はお断りいたします。
訳詞を掲載したい場合は、記事へのリンクを貼るという形にして下さい。

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