432. Donkey Town ドンキー・タウン

Donkey Town ドンキー・タウン : Mark Knopfler & Emmylou Harris

マーク・ノップラー&エミルー・ハリスのコラボレーション・アルバムから、薄汚れた炭鉱の町を出て行く男の心情を歌ったこの曲を採り上げてみました。


All The Roadrunning
Album : All The Roadrunning
  mp3 ストア
(試聴可)
Released: 24 April 2006 (Album)
Written by: Mark Knopfler (マーク・ノップラー)
Produced by: Mark Knopfler, Chuck Ainlay
マーク・ノップラー について
Mark Knopfler
/ エミルー・ハリス
Emmylou Harris
について

これは元ダイアー・ストレイツのリーダーで、ギタリスト兼ソング・ライター兼ヴォーカリストのマーク・ノップラーと、カントリー・ミュージックのエミルー・ハリスという異色の組み合わせによるアルバムです。
アルバム全体の印象から言えば「マーク・ノップラーのソロ・アルバムにエミルー・ハリスがゲスト参加してコーラスを付けた」―といった感じでエミルー・ハリスの曲は2曲しかなく、とても対等の関係とは言えませんが・・・

このアルバムからは、以前 "Beachcombing" (「ビーチコーミング」:360回目)を採り上げたことがありますが、そちらもマーク・ノップラー主導の曲となっています。 でもマーク・ノップラーのボソボソとつぶやくような低い声と、エミルー・ハリスの美しいソプラノ・ヴォイスが意外と合っているのですね・・・ エミルー・ハリスは40年以上のキャリアの中で実に多くのミュージシャンとデュエットしていますが、決して出しゃばることはなく、時にはバック・コーラスに徹していることもあるほどだから控えめな人なのでしょう。

このアルバムはデンマークとノルウェーとスイスのアルバム・チャートで1位、スェーデンで2位、オランダとドイツとイタリアで3位とヨーロッパでは人気がありますが、日本では国内版すら出ていないことからも分かるようにあまり知られていません。 確かにヒットしそうな曲はありませんが、大人のアルバムとして落ち着いて聴くことができます。

マーク・ノップラーは良い曲を書くし、時には曲と同じくらいの比重で良い歌詞も書くのですが、私(わたくし)小説みたいに個人名が出てきて意味が分かりにくかったり、学校英語ではまず習わないような俗語や造語が出てくるので訳すのが難しいです。
アルバム・タイトルにある "Roadrunning" や曲のタイトルになっている "Beachcombing" などはマーク・ノップラーの造語でしょうが、この曲の "Donkey Town" というのもやはりマーク・ノップラーの考えた言葉だと思われます。
"Donkey" (ドンキー)は動物の「ロバ」の他に、「馬鹿な」とか「間抜けな」といった意味もあり、"donkey jacket" は「労働者の作業着」、"donkey work" で「単調でつらい仕事」となりますから、これは炭鉱で働く男たちの「労働者の町」であり、「馬鹿げた/くだらない町」くらいのニュアンスなのでしょう。

この歌には JIm (ジム)という退役軍人の他に、"She" や "He" といった三人称の人物が出てきますが、どうもその「彼女」は以前「彼」だったみたいで、ちょっと聴いただけでは意味が分かりにくいものとなっています。
映画のワン・シーンや短編小説を歌にしたみたいで、今回は何の解説も無いので私も意味が良く分からないのですが、自分に出来る範囲で訳してみました。 対訳はあくまでも参考程度に考えて、誤訳と思われる箇所についてはコメントにてお知らせ下さい。


  Mark Knopfler – vocals, guitar
  Emmylou Harris – vocals
  Glen Duncan – mandolin
  Richard Bennett – guitar
  Glenn Worf – bass
  Chad Cromwell – drums
  Danny Cummings – drums
  Jim Cox – keyboards
  Guy Fletcher – keyboards

Grooveshark で、Donkey Town 『ドンキー・タウン』を聴く: (5:42)

  ●歌詞と対訳●
(Chorus)
I've been around in Donkeytown
  これまでずっと 労働者の町で暮らしてきた

too long, baby, too long
  長いこと、そう、 あまりに長いこと

Checking out of Donkeytown
  その馬鹿げた町から 出て行くんだ

So long, so long, so long
  さよなら、さよなら、さようなら

[1]
Her pretty eyes are pretty still
  彼女のきれいな瞳は きれいなままだけど

But Jim's got a kind of a squint, Yeah
  でもジムは どちらかと言えば やぶにらみだった

I dug up my last check from out of the mine
  その鉱山を出る時に 俺は最後の小切手をかき集め

Now I feel like I've done my stint
  今は 勤めをやり終えた気分さ

Jim got an army pension
  ジムは 軍隊から年金を受け取った

When he walked from the military court
  軍事裁判所から 出てきた時に

Nobody ever mentioned
  誰も そのことについては言及しなかった

The medical report
  (彼の体に関する) 医師の健康診断書について


She does little things for me
  彼女は俺に ちょっとしたことをしてくれた

She likes to get the both of us high. Yeah
  彼女は 俺たち二人がハイになるのが好きだった

She says I'm a tender-hearted man
  彼女は「アタシは心の優しい男だった」と言った

Prince charming, yeah, sure, I'm the guy
  理想の男(※)、そうよ、ホント、あたしは男なの

He likes the wrecker's dogs on chains
  彼はまるで解体業者に飼われてる 鎖に繋がれた犬みたいで

and the smoke from the company fires
  その作業場で 火を燃やす時に出る煙と

diesel oil in the trucks and cranes
  トラックやクレーンから流れ出る エンジン・オイルにまみれ

And the smell of burning tires
  タイヤを燃やす (くさい)匂いがしていた

(Chorus)
But I've been around in Donkeytown
  でも俺はずっと そんな馬鹿げた町で生きてきた

Too long, baby, too long
  長いこと、そう、 あまりに長いこと

Checking out of Donkeytown
  そんなろくでもない町から 出て行くんだ

So long, so long, so long
  さよなら、さよなら、さようなら

(間奏)

[2]
There's a purple heart in a silver tin
  (負傷兵に与えられる)スズ合金のパープルハート勲章と

and a grey .45 in a drawer. Yeah
  45口径の鉛色の銃が 引き出しの中に置かれていた

Most of the time you can drink with him
  ほとんどの時間を きみは彼と酒を飲んでいたけど

but some other time he's just sore
  それ以外の時 彼はただ悲しみに暮れていた

On days when she says she can't think straight
  そんな日々の中で 彼女が「頭がおかしくなりそう」と言った時

Or she feels like she's getting the jumps
  あるいは彼女が 苛立った気分の時に

She'll go shoot off her .38
  彼女は その38口径をぶっ放すだろう

At cans on a Donkeytown dump
  馬鹿げた町の 薄汚い場所で


It was Friday late and she crossed those legs
  それは金曜日の夜遅くで、 彼女は脚を組みながら

She told me flat out she would. Yeah
  彼女は はっきりと言った

If I could pull up my trailer pegs
  もしアタシが このトレーラー(移動住宅)を固定してる数本のペグ(杭)を引き抜けたなら

We could get away together for good
  アタシたちは これを最後に一緒に逃げられるのに

I sure wish her the best of luck
  俺は彼女が うまく行くようにと祈り

She's going to need it thinking of Jim
  彼女は ジムのことを考える必要があった

I don't like to leave her stuck
  俺は彼女を そんな行き詰まりの状態で置き去りにしたくなかったけど

But she's near as bad as him
  彼女も 彼と似たり寄ったりの深刻な状態だったから

(Chorus)
But I've been around in Donkeytown
  でも俺はずっと そんな馬鹿げた町で生きてきた

Too long, baby, too long
  長いこと、そう、 あまりに長いこと

Checking out of Donkeytown
  そんなろくでもない町から 出て行くんだ

So long, so long, so long
  さよなら、さよなら、さようなら

Checking out of Donkeytown
  ろくでもない町から 出て行くんだ

So long, so long, so long
  さよなら、さよなら、さようなら


※ hove been around: 世間慣れしている、経験を積んでいる (世間のあちこちを歩き回ってきたというイメージ)。 活動してきた、動き回ってきた、存在してきた、等々。
※ donkey: 1.ロバ。 2.馬鹿な、間抜けな。
 "donkey jacket" は「労働者の作業着」、"donkey work" は「単調でつらい仕事」で、"Donkeytown" はマーク・ノップラーお得意の造語と思われます。 
 
※ check(ing) out: 1.(ホテルなどから)チェックアウトする。 2.【俗】急いで出かける、すぐに立ち去る。
※ so long: さようなら、またね。 "too long" (あまりに長く)と並べて韻を踏んでいます。
※ kind of: 1.どちらかといえば。 2.やや、ある程度、ちょっと。
※ squint: 1.斜視、やぶにらみ。 2.目を細めて見る。

※ dig(dug) up: 1.掘り出す、発掘する。 2.(金などを)かき集める。(情報を)探し集める。
※ check: (鉱山などで現金の代わりに支払われる)小切手。
※ the mine: 鉱山、炭鉱。
※ stint: 1.(仕事などをしていた)期間。 2.任務、仕事。
※ pension: 年金、恩給。 (フランス語の場合は「食事付きの小さなホテル」)
※ military court: 軍事裁判所、軍法会議。
※ mention: ~に言及する、~に触れる、~のことを話す。("pension" と掛けています)
※ medical report: 医学報告、健康診断書。 (ジムの性別のことでしょう)

※ tender hearted: 心の優しい、思いやりのある、情にもろい、感じやすい。
※ Prince Charming: 1.(物語で主人公の女性を助ける)王子様。 2.理想の男。
※ guy: 【話】男、奴(やつ)。
※ wrecker: 1・(車などの)解体業者(作業員)。 2.【米】レッカー車。
※ diesel: (軽油を燃料とする)ディーゼル・エンジン。

※ Purple Heart: パープル・ハート勲章。(米国で負傷した軍人に与えられる)
※ silver tin (alloy): 銀スズ合金。
※ .45: 45口径の銃。 (または弾丸)
※ most of: ~の大部分、~の多くを。 ほとんどの。
※ can't think straight: まともに考えることができない、ちゃんと頭が働かない。
※ get the jumps: 苛立つ。 "get the jump on" だと「先に行動を起こす」、「~を出し抜く」
※ shoot off: 撃つ、撃ち抜く。

※ dump: 【名】1.ゴミ捨て場。 2.薄汚い場所。
※ flat out: (話し方が)はっきりと、きっぱりと、ズバッと。
※ trailer: この場合は米国のトレーラー・ハウス(移動住宅)。
※ get away: 逃亡する、逃げる。
※ for good: 1.永遠に。 2.これを最後に。
※ best of luck: (挨拶で)幸運を祈る、どうぞお幸せに。
※ stuck: 行き詰まった、手も足も出ない、にっちもさっちも行かない。
※ as bad as: ~ほどひどい、深刻だ。

テーマ : 洋楽歌詞対訳
ジャンル : 音楽

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Sumi Haruo

Author:Sumi Haruo
昨年まで老母の介護をしていました。 古い記事へのコメントも大歓迎です。
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