427. The A Team / Aチーム ~飛べない天使たち~

The A Team / Aチーム : Ed Sheeran エド・シーラン

エド・シーラン二十歳のデビュー・アルバムから、ファースト・シングルとなったこの曲を選んでみました。 英国とアイルランドで3位、オーストラリアのシングル・チャートでは2位となっています。


"The A Team" EP
Album : + (Plus)
  プラス (初回限定版)
(試聴可)
Released: June, 2011 (Album: September, 2011)
Written by: Ed Sheeran (エド・シーラン)
Produced by: Jake Gosling
 エド・シーランについて:
Ed Sheeran
 フリー百科事典『ウィキペディア』

エド・シーランは1991年生まれの、イングランド出身のシンガー・ソング・ライターです。

16歳でロンドンに出て、昼間はスタジオ、夜はライヴ活動という生活で、自主制作のCDを会場で売っては次のライヴ資金を稼ぐという日々を繰り返していました。 ほとんどの夜をライヴハウスで過ごすようになった事もあり、やがては借りていたアパートを引き払い、リュックサックとギターを持って人の家を泊まり歩く生活が始まります。
19歳の時にたった一つのステージ出演の話を頼りにロサンゼルスに渡り、そこで俳優ジェイミー・フォックスのラジオ番組に出演したことがキッカケで認められ、アメリカでの活動が始まった―という経歴の持ち主です。

この曲は、YouTube の[Official Video] (公式ビデオ)を観ても分かる通り、ホームレスの女性の生活を歌ったものです。 演じているのはセリーナ·マクドナルドという人で、エド・シーラン自身も「ビッグ・イシュー」というホームレス支援雑誌を買う場面でちょっと出てきます。

"The A Team" (Aチーム)とは意味の分かりにくいタイトルですが、そのことについてはウィキペディアに解説が載っているので、ちょっと訳してみました。
"'The A Team' came from an experience I had when I did a gig at a homeless shelter", says Sheeran of the song.
『「Aチーム」は、ぼくがホームレスの保護施設でギグ(単発の演奏会)をやった時の体験が元になっているんだ』と、その歌について(エド)シーレンは語った。

"I was 18 at the time and kind of quite naïve. So, I was a bit taken aback by some of the stories that I heard.
『ぼくはその時18歳で、かなりナイーヴな頃だった。 だから、ぼくがそこで彼らから聞いた身の上話には少なからず衝撃を受けたんだ。

I got home that night and I just wrote a lot of the lyrics.
その夜家に戻ってから、ぼくは沢山の歌詞をともかく書きまくったんだけど、

I wanted to write it so it sounded kind of upbeat, so you wouldn't really know what it's about, because it's quite a dark subject."
ぼくはそれが明るい曲調に聞こえるようにしたかったから、そうしたことについては想像しにくいだろうね、と言うのもそれはかなり暗いテーマな訳だから。』

In a video interview with Billboard, Sheeran explained the song's title.
ビルボードのビデオ・インタビューの中で、シーレンはこの曲のタイトルについて説明している。

"A drug like crack cocaine is called a 'Class A drug'. That's in the same category as heroin.
『(固形の)クラック・コカインの様なドラッグ(薬物)は「クラスAドラッグ」と呼ばれていて、それはヘロインと同じ(A種の)カテゴリーに分類されているんだ。

Instead of making it clear and just saying what the problem was, I'd say, 'She's in the 'Class A' team.'
こうした問題についてはハッキリと明言するよりも、ぼくはむしろ「彼女はクラスAチーム」だと言った方が良いだろうと思っただけでね。

It was kind of my way of covering up (a person's addiction), I guess, making it a bit more subtle." (From Wikipedia)
それは(その人が中毒患者であることを)包み隠そうとするぼくのやり方で、ちょっと複雑で分かりにくい方法じゃないかな。』―と。 (「ウィキペディア」より)

二十歳くらいの若者でこうした社会的な歌詞を書いてしまえるエド・シーレンもすごいけど、日本のTVで流れている若い人たちの曲と比べてみると、その違いが一層はっきりとするでしょう。

歌詞は、"A Team" (エィティーム)と "Eighteen" (エィティーン)の様に似たような発音の言葉を並べ、随所で韻(いん)を踏んでいるのでとてもリズミカルに聞こえます。 暗い内容なのだけどあまり暗さを感じさせないのは、アップビートで明かるめな曲調とリズミカルな韻律によるものでしょう。


Ed Sheeran – beat box, acoustic guitar, electric guitar, percussion, piano
Jake Gosling – drums, keyboards, piano, strings arrangements, producer
Chris Leonard – bass, acoustic guitar, electric guitar


  ●歌詞と対訳●
[1]
White lips, pale face
  白くなった唇、 青ざめた顔

Breathing in snowflakes
  雪のかけらが舞う中で 深呼吸をしても

Burnt lungs, sour taste
  (薬物で)爛(ただ)れた肺には、 酸っぱい味がする

Light's gone, day's end
  灯りが消えて、 一日が終わる

Struggling to pay rent
  家賃を払うために 悪戦苦闘して 

Long nights, strange men
  長い夜々、 見知らぬ男たち

(Chorus)
And they say
  世間では

She's in the Class A Team
  彼女はエィ・ティーム(A種薬物)に属する(中毒)患者と呼ばれ

Stuck in her daydream
  妄想(の世界)から抜け出せずにいる

Been this way since eighteen
  エィティーン(18歳)の時から ずっとこんな調子で

But lately her face seems
  でも近頃(レイトリー) 彼女の顔は

Slowly sinking, wasting
  次第に(スローリー) 衰弱して萎縮して行くように見える

Crumbling like pastries
  まるで つぶれた菓子パン(ペストリー)みたいに

And they scream
  世の中の人たちは叫ぶ

The worst things in life come free to us
  人生で最悪のことは 我々が好き勝手にされることだ、と

'Cause we're just under the upper hand
  だって我々は (上にいる)権力者たちに支配されているだけだから 

And go mad for a couple grams
  そして わずか数グラムの(薬物の)ために 頭がおかしくなって

And she don't want to go outside tonight
  彼女は外になんか居たくないんだ、こんな夜に

And in a pipe she flies to the Motherland
  だから彼女はパイプをふかして 生まれた国へと飛び立つ 

Or sells love to another man
  あるいは他の男に 愛を売るとか 

It's too cold outside
  でも それには外は寒すぎる

For angels to fly
  天使が 空を舞うには

Angels to fly
  天使が 飛び立つには

[2]
Ripped gloves, raincoat
  破れた手袋と レインコート

Tried to swim and stay afloat
  もがきながらも、どうにか暮らし (※)

Dry house, wet clothes
  不毛な家、 湿った衣服

Loose change, bank notes
  小銭と、 紙幣と

Weary-eyed, dry throat
  疲れきった眼(まなこ)に、 渇ききった喉(のど)

Call girl, no phone
  コールガール(電話で呼び出される売春婦)には、 電話する者もいない

(Chorus)  (以下、繰り返し)
And they say
  世間では

She's in the Class A Team
  彼女はエィ・チーム(A種薬物)に属する(中毒)患者と呼ばれ

Stuck in her daydream
  幻覚(の世界)から抜け出せずにいる

Been this way since eighteen
  エイティーン(18歳)の時から ずっとこんな調子で

But lately her face seems
  でも近頃の彼女の顔は

Slowly sinking, wasting
  次第に衰弱して、萎縮して行くように見える

Crumbling like pastries
  崩れたペストリー(菓子パン)みたいに

And they scream
  世の中の人たちは叫ぶ

The worst things in life come free to us
  人生で最悪のことは 我々が好き勝手にされることだ、と

'Cause we're just under the upper hand
  だって我々は (上にいる)権力者たちに支配されているだけだから 

And go mad for a couple grams
  そして わずか数グラムの(薬物の)ために 頭がおかしくなって

And she don't want to go outside tonight
  彼女は外になんか居たくないんだ、こんな夜に

And in a pipe she flies to the Motherland
  だから彼女はパイプをふかして 生まれた国へと飛び立つ 

Or sells love to another man
  あるいは他の男に 愛を売るとか 

It's too cold outside
  でも それには外は寒すぎる

For angels to fly
  天使が 空を舞うには

An angel will die
  その天使は 死ぬだろう

Covered in white
  白い色に包まれて

Closed eye
  その眼を閉じたんだ

And hoping for a better life
  願わくば、 (あの世で)もっと良い生活ができますように

This time, we'll fade out tonight
  今はもう、ぼくらは姿を消すとしよう、こんな夜に

Straight down the line
  まっすぐ 通りに沿って

(間奏)

And they say
  世間では

She's in the Class A Team
  彼女はエィ・チーム(A種薬物)に属する(中毒)患者と呼ばれ

Stuck in her daydream
  妄想(の世界)から抜け出せずにいる

Been this way since eighteen
  エイティーン(18歳)の時から ずっとこんな調子で

But lately her face seems
  でも近頃の彼女の顔は

Slowly sinking, wasting
  次第に衰弱して、萎縮して行くように見える

Crumbling like pastries
  つぶれたペストリー(菓子パン)みたいに

And they scream
  世の中の人たちは叫ぶ

The worst things in life come free to us
  人生で最悪のことは 我々が好き勝手にされることだ、と

'Cause we're all under the upper hand
  だって我々は皆んな (上にいる)権力者たちに支配されている訳だから 

And go mad for a couple grams
  そして わずか数グラムの(薬物の)ために 頭がおかしくなって

And we don't want to go outside tonight
  ぼくらは 外になんか居たくないんだ、 こんな夜に

And in a pipe she flies to the Motherland
  だから彼女はパイプをふかして 生まれた国へと飛び立つ 

Or sells love to another man
  あるいは他の男に 愛を売るとか 

It's too cold outside
  でも それには外は寒すぎる

For angels to fly
  天使が 空を舞うには

Angels to fly, to fly, fly
  天使が 飛び立つには、

Angels to fly, to fly, to fly
  天使が 飛び立つには、 飛び立つには

Angels to die
  天使が 死ぬには・・・



※ snowflakes: 雪のかけら、雪片。 
※ lungs: 肺。
※ struggle: もがく、あがく。 悪戦苦闘する。 骨折り、奮闘。
※ pay rent: 家賃を支払う。
※ Class A = Class A drug. クラック・コカイン(※)のような薬物は「クラスAドラッグ」と呼ばれ、ヘロインなどと同じカテゴリーに分類される、とのこと。
 【クラック・コカイン】:重曹を溶かした水溶液に粉末のコカインを入れて作る純粋な固形コカインのことで、それを小さく砕いて使用する。燃やす時にクラック(パチパチという音)することから命名された、とか。 (やってないので分かりません)

※ stuck in: ~にはまり込んでいる。 ~から抜け出せずにいる。 
※ daydream: 空想、夢想にふける。
※ this way: 1、こっちに。 2.このように、こんな方法で。
※ sinking: 衰弱、意気消沈。
※ wasting: 消耗、萎縮(する)。
※ crumbling: 崩れかける。 この辺り、"..ing" で同じような言葉を並べています。

※ worst thing: 最悪の、最低の。
※ under the upper hand: ~の支配下で、 ~の体制の下で。
※ go mad: 発狂する、頭がおかしくなる。
※ a couple: 1.二つの。 2.2~3の。 数個、数日、何個か。
※ in a pipe: "smoke tobacco in a pipe" で「パイプで煙草を吸う」ですが、この場合はビデオにもあるように薬物でしょう。
※ Motherland: 母国、故国、祖国。

※ ripped: 1.引き裂かれた。 2.酒(麻薬)に酔った。
※ try to swim: 何とか泳ぎ着こう(渡ろう)とする。
※ stay afloat: 1.浮いたままでいる。 2.(商売などを)何とかやりくりする。
※ dry: 乾いた。 不毛の。 (話などの)つまらない、無味乾燥な。 次の "wet" と対比させています。
※ loose change: 小銭、バラ銭。
※ bank notes: (銀行発行の)紙幣。
※ call girl: 客の部屋に電話で呼び出される売春婦。

テーマ : 洋楽歌詞対訳
ジャンル : 音楽

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No title

はじめまして(^^)
エドシーランが来日するのでライブに行こうと思い、今までラジオで聞き流していた歌詞を検索していてこちらにたどり着きました。
曲を理解するためのウィキペディアからの引用や和訳、韻を踏んでいる解説も、とても分かりやすく素晴らしい記事だと思いました。
エドシーランは美しい歌詞を書くのですね、ますます好きになりました。
どうもありがとうございます(^^)
暑くなってきましたがお身体大切にお過ごしくださいませm(_ _)m

Re: No title

こんにちは、そして初めまして。

このブログは開店休業状態でめったにコメントが付くことはありませんが、たまにこうしてコメントが付くと、「まだどなたかのお役に立っているのかな」-と思って消さずにいる次第です。

こうした社会問題を扱った曲は暗いし一般的ではないので敬遠されがちですが、無視することも出来ないテーマなので採り上げてみました。
エド・シーランが来日することは知りませんでしたし、こうしてコメントが付くことでリンク切れの記事を修正することも出来ました。

うれしいコメントを、どうもありがとうございます。
プロフィール

Sumi Haruo

Author:Sumi Haruo
昨年まで老母の介護をしていました。 古い記事へのコメントも大歓迎です。
※記事へのリンクは自由ですが、対訳はあくまでも私個人の解釈なので、訳詞の転載はお断りいたします。
訳詞を掲載したい場合は、記事へのリンクを貼るという形にして下さい。

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