360. Beachcombing ビーチコーミング
Beachcombing ビーチコーミング
Mark Knopfler & Emmylou Harris マーク・ノップラー & エミルー・ハリス
マーク・ノップラーとエミルー・ハリスのコラボレーション・アルバムから、アルバムのオープニング曲であり、セカンド・シングルとなったこの曲を選んでみました。
元ダイアー・ストレイツのリーダーでソング・ライターでギタリストでもあるマーク・ノップラーと、カントリーの世界では既に大御所のエミルー・ハリスという二人名義の、これはちょっと異色のアルバムです。
もっともデュエット・アルバムと言うほど対等の立場ではなく、どちらかというとマーク・ノップラーのソロ・アルバムにエミルー・ハリスがゲスト参加しているといった印象でした。
全12曲中、エミルー・ハリスの書いたのは2曲だけで、アコースティック・ギターも「5」と「9」で弾いている程度ですが、マーク・ノップラーの方は歌っていない時でもあのギター・プレイが随所で堪能できるといった具合です。
それはともかくとして、この二人はたまに集まってはこっそりレコーディングをしていたようで、何でも完成までに7年ほどかかったとか。 カントリーっぽい曲もありますが、どちらかというとマーク・ノップラー色が強く、それにエミルー・ハリスの美声が加わっていい味を出しています。 派手さはありませんが、繰り返し飽きずに聴ける大人のアルバムといったところでしょうか。
このアルバムは、デンマークとノルウェイとスイスのアルバム・チャートで最高1位となり、スウェーデンで2位、オランダとドイツとイタリアでは3位となっています。 マ-ク・ノップラーの地元イギリスで8位、エミルー・ハリスの本国アメリカでは17位ですが、日本では国内版すら出ていないから人気の程は推(お)して知るべしでしょう。
1947年生まれのエミルー・ハリスはマーク・ノップラーより二つ年上で、長いキャリアの中でカントリー以外のミュージシャンとの競演も多く、1990年に「Duets」/「デュエッツ」というそれまでのデュエット曲を集めたアルバムを出しています。
それには1973年に亡くなったグラム・パーソンズとのデュエット曲"Love Hurts"(エヴァリー・ブラザースのカヴァー)を始めとして、故ロイ・オービソン、二ール・ヤング、ウィリー・ネルソン、ジョン・デンバーといった人たちとの曲が並び、最後は1978年に発売されたザ・バンド「ラスト・ワルツ」でのスタジオ・ライヴ曲"Evangeline" (エヴァンジェリン)が収められていました。
エミルー・ハリスは今年(2013年)になってロドニー・クロウェルとのコラボレーション・アルバム 「Old Yellow Moon」 を出しています。 お金が無くて新譜の買えない私は、まだ聴いていないのですが・・・
ところでアルバム・タイトルの「Roadrunning」や、この曲の「Beachcombing」という単語は見当たらないのでマーク・ノップラーの造語のようですが、「combing」はコーム(櫛)で「梳(す)く」とか「梳(くしけず)る」といった意味だから、熊手のようなもので浜辺に打ち上げられた漂流物を掃除しているイメージが浮かびます。 複雑に絡み合った家庭内の問題を、漂流物の打ち上げられた浜辺にたとえて歌っているのでしょう。 私はそんな風に解釈して訳してみました。
Real Live Roadrunning
この後のプロモーション・ツアーの模様を収めたCD/DVDが出ています。 こちらは更にマーク・ノップラー色が強く、エミルー・ハリスの曲は2曲だけですが、マーク・ノップラーはソロでの曲やダイアー・ストレイツ時代の曲まで演(や)っていて、エミルー・ハリスのファンが聴けば不満が残るでしょう。
●参加ミュージシャン:
Mark Knopfler – vocals, guitar
Emmylou Harris – vocals
Glen Duncan – mandolin
Richard Bennett – guitar
Glenn Worf – bass
Chad Cromwell – drums
Danny Cummings – drums
Jim Cox – keyboards
Guy Fletcher – keyboards
●歌詞と対訳●
Mark Knopfler & Emmylou Harris マーク・ノップラー & エミルー・ハリス
マーク・ノップラーとエミルー・ハリスのコラボレーション・アルバムから、アルバムのオープニング曲であり、セカンド・シングルとなったこの曲を選んでみました。
All The RoadrunningAlubm : All The Roadrunning
/ All The Roadrunning (mp3)
(試聴可)
Released: 24 April 2006
Written by: Mark Knopfler
Produced by: Mark Knopfler, Chuck Ainlay
マーク・ノップラー
Mark Knopfler / エミルー・ハリス
Emmylou Harris フリー百科事典『ウィキペディア』

もっともデュエット・アルバムと言うほど対等の立場ではなく、どちらかというとマーク・ノップラーのソロ・アルバムにエミルー・ハリスがゲスト参加しているといった印象でした。
全12曲中、エミルー・ハリスの書いたのは2曲だけで、アコースティック・ギターも「5」と「9」で弾いている程度ですが、マーク・ノップラーの方は歌っていない時でもあのギター・プレイが随所で堪能できるといった具合です。
それはともかくとして、この二人はたまに集まってはこっそりレコーディングをしていたようで、何でも完成までに7年ほどかかったとか。 カントリーっぽい曲もありますが、どちらかというとマーク・ノップラー色が強く、それにエミルー・ハリスの美声が加わっていい味を出しています。 派手さはありませんが、繰り返し飽きずに聴ける大人のアルバムといったところでしょうか。
このアルバムは、デンマークとノルウェイとスイスのアルバム・チャートで最高1位となり、スウェーデンで2位、オランダとドイツとイタリアでは3位となっています。 マ-ク・ノップラーの地元イギリスで8位、エミルー・ハリスの本国アメリカでは17位ですが、日本では国内版すら出ていないから人気の程は推(お)して知るべしでしょう。
1947年生まれのエミルー・ハリスはマーク・ノップラーより二つ年上で、長いキャリアの中でカントリー以外のミュージシャンとの競演も多く、1990年に「Duets」/「デュエッツ」というそれまでのデュエット曲を集めたアルバムを出しています。
それには1973年に亡くなったグラム・パーソンズとのデュエット曲"Love Hurts"(エヴァリー・ブラザースのカヴァー)を始めとして、故ロイ・オービソン、二ール・ヤング、ウィリー・ネルソン、ジョン・デンバーといった人たちとの曲が並び、最後は1978年に発売されたザ・バンド「ラスト・ワルツ」でのスタジオ・ライヴ曲"Evangeline" (エヴァンジェリン)が収められていました。
エミルー・ハリスは今年(2013年)になってロドニー・クロウェルとのコラボレーション・アルバム 「Old Yellow Moon」 を出しています。 お金が無くて新譜の買えない私は、まだ聴いていないのですが・・・
ところでアルバム・タイトルの「Roadrunning」や、この曲の「Beachcombing」という単語は見当たらないのでマーク・ノップラーの造語のようですが、「combing」はコーム(櫛)で「梳(す)く」とか「梳(くしけず)る」といった意味だから、熊手のようなもので浜辺に打ち上げられた漂流物を掃除しているイメージが浮かびます。 複雑に絡み合った家庭内の問題を、漂流物の打ち上げられた浜辺にたとえて歌っているのでしょう。 私はそんな風に解釈して訳してみました。

この後のプロモーション・ツアーの模様を収めたCD/DVDが出ています。 こちらは更にマーク・ノップラー色が強く、エミルー・ハリスの曲は2曲だけですが、マーク・ノップラーはソロでの曲やダイアー・ストレイツ時代の曲まで演(や)っていて、エミルー・ハリスのファンが聴けば不満が残るでしょう。
●参加ミュージシャン:
Mark Knopfler – vocals, guitar
Emmylou Harris – vocals
Glen Duncan – mandolin
Richard Bennett – guitar
Glenn Worf – bass
Chad Cromwell – drums
Danny Cummings – drums
Jim Cox – keyboards
Guy Fletcher – keyboards
●歌詞と対訳●
They say there's wreckage washing up 漂流物が浜辺に打ち上げられているという
All along the coast 海岸線に沿って いたるところに
No one seems to know too much 誰もそのことについて よく知らないようだった
Of who got hit the most (難破した)一番の原因が 一体誰のせいなのかを
Nothing has been spoken (それについては)何も語られず
There's not a lot to see 目撃した人も ほとんどいなかったから
But something has been broken でも 何かが壊れたのだし
That's how it feels to me それを 自分がどう思うかということ
We had a harmony ぼくらには ハーモニー(調和)があるから
I never meant to spoil そんなことで 駄目になったりはしないけど
Now it's lying in the water でもそれは今 海の上に広がっている
Like a slick of oil まるで 油膜のようになって
The tide is running out to sea 潮の流れが 沖へと向かう
Under a darkening sky 暮れ行く 空の下で
The night is falling down on me 夜の帳(とばり)が 降りてくる中
And I'm thinking that I should ぼくは 何をすべきかを考えている
Head on home 家族(の問題)と 向き合ってきた
Been gone too long これまで とても長いこと
Leave my roaming 当ても無い 放浪生活から離れて
Beachcombing (汚れた)浜辺を 掻(か)き均(なら)すように
(間奏)
Little wild kitten out hunting 小さな野生の子猫が 狩りに出かけ
To see what he can get 捕らえることのできる獲物に 狙いをつけるように
You're in a big city now 人は今も 都会の中にいて
Won't stop growing yet 未だ発展を 止めようとしない
The sun is going down smoking 太陽は(もやの中に) 霞みながら沈んで行く
A flaming testament 燃えるような 最後の言葉を遺(のこ)して
Something has been broken 何かが 壊れたけど
And it feels permanent でも 何も変わらないような気もする
Little seabird flying 小さな海鳥が 翔(と)んで行く
He knows where he wants to go 自分の行きたいところが 分かっているのさ
Guess I ought to pack my stuff ぼくは荷物をまとめるべきだろう
And do the thing I know そして 自分に分かっていることをすべきだろう
I turn around and head on back ぼくは向きを変えて 引き返すとしよう
Along the old sea wall 古びた護岸壁に沿って
I felt something give and crack ぼくは何かに 叩かれたような気がしたけど
And now I'm sorry that's all いや、すまないけど、ただそれだけのことさ
Head on home 家庭(の問題)と 向き合ってきた
Been gone too long これまで とても長いこと
Leave my roaming 気ままな 放浪生活から離れて
Beachcombing (ゴミの散乱した)浜辺を 梳(す)き均(なら)すように
wreckage: "wreck" は「難破」や「難破船」で、「(難破船の)漂流物」や「(船の)残骸」
wash up: 普通は「洗う」だが、この場合は「(波が漂流物を)浜辺に打ち上げる」
all along: 最初(始め)からずっと。 全~にわたって。 いたるところで。
not seem to know: ~について良く知らない、 良く分かっていない。
never meant to: ~するつもりではない、 ~しようとしたのではない。
oil slick: (海などに浮いている)油膜。 (流出した石油による)油まみれ。
head on: (問題などに取り組む姿勢が)正面から、真っ向から。
roaming: 漂泊、彷徨(さまよ)う、放浪。 次の"coming"と並べて韻を踏んでいる。
combing: "comb"(コーム)は「櫛(くし)」のことで、「梳(す)く」、「梳(くしけず)る」
"beachcombing"という単語は見当たらないので、マーク・ノップラーの造語でしょう。
"comb" には「捜索する」という意味もあります。
kitten: 子猫。
out hunting: 狩りに出かける、猟に行く。
testament: 遺書、遺言。 ラテン語の「証言」の意で、"The Testament" で「聖書」。
pack someone's stuff: (人の)荷物をまとめる、荷物を詰める、荷造りする。
turn around: 向きを変える、方向転換する。
sea-wall: 護岸。
give (someone) a crack: 一発食らわせる、一発お見舞いする、ピシャリと打つ。
that's all: それだけだ、それがすべてだ。