346. Hotel California ホテル・カリフォルニア

Hotel California ホテル・カリフォルニア : Eagles イーグルス

 イーグルスを代表する曲であると同時に、’70年代を代表するヒット曲の一つでしょう。 既に多くの人たちがこの曲について語っているので、「何も今更」という気もしますが、35年ぶりにレコードをかけてみたらあの頃の気持ちがよみがえってきたので、改めてこの曲と向き合ってみることにしました。


Single
Alubm : Hotel California
  ホテル・カリフォルニア

Released: February 1977 (Alubm: December 8, 1976)
Written by: Don Felder, Don Henley, Glenn Frey
Produced by: Bill Szymczyk (ビル・シムジク)

  イーグルスについて:
Frey, Walsh, Henley, Felder, Maisner
 フリー百科事典『ウィキペディア』 

 12弦ギターのイントロが印象的なこの曲は、ドン・フェルダーがイーグルスに加入した頃に持ってきたデモ・テープに収められていたものでした。 そのテープは楽曲だけで歌詞や歌は無く、他の曲とも違っていたので前作には使われませんでしたが、他のメンバーたちは気に入って、最初に付いた仮題は「Mexican Reggae」(メキシカン・レゲエ)だったとか。
 その曲にドン・ヘンリーが歌詞を付けて、この曲が出来上がりました。 グレン・フライも歌詞のアイディアを出したとかで一応名前がクレジットされていますが、大した貢献はしていないようです。

 この曲は東海岸のフロリダ(マイアミ)にあるスタジオでレコーディングされていますが、ドン・フェルダーはこの曲のイントロを忘れてしまい、西海岸のロサンゼルスにある自宅の家政婦に電話してテープを電話機まで持ってきてもらい、電話越しにテープをかけてもらってそれを思い出したというエピソードが伝えられています。 今みたいにパソコンやインターネットが無かった頃の話です。

 このアルバムからギタリストのジョー・ウォルシュが参加して、ここでもハードなリード・ギターを弾いています。 後半のインストゥルメンタル部分はドン・フェルダーとジョー・ウォルシュによるツイン・ギターの掛け合いとなり、ギター・ソロの最初に飛び出してくるドン・フェルダーの演奏しているギターが ギブソン・レスポール、その後を受けて登場するジョー・ウォルシュの弾いているのが フェンダー・テレキャスター ということで、その違いを聞き分けてみるのも楽しいでしょう。

 歌詞は暗喩(あんゆ)や皮肉が込められた難解な部分が多く、これまでに色々な解釈がなされてきました。 特に、ロック・スピリットを失って金儲けのビジネスと化した、当時の音楽業界を皮肉ったとみられる、
So I called up the Captain, "Please bring me my wine"
それで俺はボーイ長を呼んで、「俺の(指定銘柄の)ワインを持ってきてくれないか」―と頼むと

He said, "We haven't had that spirit here since 1969"
彼いわく、「そのようなスピリット(酒/精神)は、1969年以来切らしております」―とのことだった

 ―という箇所は有名です。 つまりロックの「スピリット」を「精神」と「酒」に掛けて皮肉っている訳ですが、スピリットとはウィスキーやウォッカなどの「蒸留した強い酒」を指すことが多く、「ワインのように度数の低い醗酵酒は含まれないのでは?」―との指摘(ツッコミ)もあるのですが、細かいことは無しにしましょう。
 300年前のデフォーの小説「ロビンソン・クルーソー」でも、難破船に乗り込んだロビンソンがラム酒の入った樽を見つけ、大きなカップで一杯引っかけてから作業に当たるくだりでは、"indeed, need enough of to spirit me for what was before me." 「本当に、それまでの自分に必要だったスピリット(元気/酒)をたっぷり注ぎ込んだのである。」―という表現がありました。

 この歌詞には退廃的な上流社会を皮肉ったと見られる箇所や、スティーリー・ダンに対する当てこすりとも思えるフレーズ(スティーリー・ナイフ)まで出てくるので、更に分かりにくいものとなっています。 歌詞の最後で夜警の男が言う意味深なセリフ、
You can check out anytime you like, あなたは好きな時に 「チェック・アウト」できるけど、
but you can never leave   でも決して (ここから)立ち去ることはできません
―の「チェック・アウト」も米俗語で「死ぬ」とか「くたばる」という意味があるので、「アンタは好きな時に死ねるけど、でも決して(生きてここから)出ることはできない」―と解釈することもできるでしょう。

 イーグルスは前作を最後にカントリー寄りだったバーニー・レドンが抜け、このアルバムを発表後のツアー中に今度はベーシストのランディ・マイズナーが脱退し、オリジナル・メンバーはドン・ヘンリーとグレン・フライの二人だけになってしまいました。 この二人、どうも他のメンバーとうまく行かないみたいで(意地悪をするという話もあり)、ドン・フェルダーもグレン・フライとの不仲が続いて、2000年にはドン・ヘンリーが「バンドに貢献していない」―との理由からドン・フェルダーを突然解雇(クビに)しています。 ドン・フェルダー側も黙って解雇はされず、それを不服として裁判を起していますが、ドン・フェルダーがいなかったらこの曲は生れていなかった訳で、「貢献していない」―とはとても言えないでしょう。



  Don Henley (ドン・ヘンリー): Lead vocals, drums.
  Glenn Frey (グレン・フライ): 12-string acoustic guitar, electric guitar, backing vocals.
  Don Felder (ドン・フェルダー): Lead guitar, 12-string electric guitar, backing vocals
  Joe Walsh (ジョー・ウォルシュ): Lead guitar, backing vocals.
  Randy Meisner (ランディ・マイズナー): Bass guitar, backing vocals


Hotel California 『ホテル・カリフォルニア』を聴く: (6:30)

  ●歌詞と対訳●

On a dark desert highway  暗い砂漠地帯のハイウェイを (車で)走っていると
Cool wind in my hair   冷たい風が 俺の髪の毛をなで
Warm smell of "colitas"   「コリタス」(※)の生温かい匂いが
Rising up through the air  あたりから 立ちのぼってくる   
Up ahead in the distance   行く手の はるか遠方に ※
I saw a shimmering light   キラキラと光る 灯りが見えていた ※
My head grew heavy and my sight grew dim  頭は段々と重くなるし、眼はかすんでくるし ※
I had to stop for the night.   その夜はもう (走るのを)やめなければならなかった 

There she stood in the doorway  (ホテルの)玄関口に 女が立っていて ※
I heard the mission bell   ミッション(使い)のベルの音が聞こえたとき ※
I was thinking to myself :   俺は心の中で こう思ったものだ:
"This could be Heaven and this could be Hell" 「ここは天国にも、地獄にもなるだろう」と ※
Then she lit up a candle  それから彼女は ろうそくの灯りで照らしながら ※
And she showed me the way,  (ホテルの中を)案内してくれた ※
There were voices down the corridor  コリドー(回廊)の方から 何やら声がして ※
I thought I heard them say  その言葉を耳にしたとき 俺は思ったものだ

Welcome to the Hotel California  ホテル・カリフォルニアへ ようこそ
Such a lovely place    こんな 素敵なところへ
(Such a lovely place)   (何て 素敵な場所だろう)
Such a lovely face   何て きれいな顔なんだ
Plenty of room at the Hotel California  ホテル・カリフォルニアには 部屋がたくさんある
Any time of year   一年中 いつでも ※
(Any time of year)   (いつでも 好きな時に)
You can find it here  それ(部屋)は 見つかるだろう

Her mind is Tiffany-twisted  彼女の心の中は (高級ブランド)ティファニーのことでいっぱいで ※
She got the Mercedes benz   (高級車の)メルセデス・ベンツを所有して
She got a lot of pretty, pretty boys  多くの きれいな青年たちを連れていたけど
she calls friends    彼女は(彼らを) 「友だち」と呼んでいた
How they dance in the courtyard  (建物の)中庭で 客たちがいかにダンスに興じていことたか ※
Sweet summer sweat   甘美な 夏の汗をかきながら
Some dance to remember  そのダンスのうち 幾つかは思い出に残すため ※
Some dance to forget   幾つかは 忘れるためのものだった ※

So I called up the Captain  それで俺は ボーイ長を呼んで ※
"Please bring me my wine"  「俺の(指定銘柄の)ワインを持ってきてくれないか」と頼むと、
He said,    彼が言うには、
"We haven't had that spirit here since 1969" 「そのようなスピリット(酒/精神※)は 1969年以来切らしております」―とのことだった
And still those voices are calling from far away そしてあの声が まだ遠くから呼びかけてきて
Wake you up in the middle of the night   真夜中に 人が起きていると ※
Just to hear them say:   その声を (嫌でも)聞かされるのだ

Welcome to the Hotel California  ホテル・カリフォルニアへ ようこそ
Such a lovely place    こんな 素敵なところへ
(Such a lovely place)   (何て 素敵な場所だろう)
Such a lovely face   何て きれいな顔なんだ
They're living it up at the Hotel California ホテル・カリフォルニアでは みんな贅沢に暮してる ※
What a nice surprise  これはこれは ようこそ ※
(What a nice surprise)   (なんとも奇遇だね)
Bring your alibis  アリバイ(証拠・言い訳)を示してみせて ※

Mirrors on the ceiling  鏡張りの 天井(てんじょう)に ※
The pink champagne on ice  氷で冷やした ピンクのシャンペン(のボトル) ※
and she said:   彼女が言うには:
"We are all just prisoners here,  『私たちはみんな ここでは囚われの身、 ※
of our own device"    それも 自分自身で決めたことなの』 ※
And in the master's chambers  (ホテルの)支配人の 部屋の中では ※
They gathered for the feast  豪華な饗宴を繰り広げようと 人々が集まっていて ※
They stabbed it with their steely knives 手にした鋼のナイフを (生贄に)突き刺していたが ※
But they just can't kill the beast  どうしても その生贄獣を殺すことができずにいた ※

Last thing I remember  最後に俺は (忘れかけていた以前の生活を)思い出すと ※
I was running for the door  (最初に通ったはずの)出入り口のあった方へと 駆け出していた
I had to find the passage back to the place I was before 元いた所に戻る道を見つけようと
"Relax," said the night man   「気を楽にして」と 夜警の男が言った
"We are programmed to receive,  『我々は(ここを)受け入れるよう プログラムされているのです
You can check out anytime you like...   あなたは好きな時に チェック・アウトできるけど ※
but you can never leave"   でも決して (ここから)立ち去ることはできません』


※ colitas: 【スペイン語】"little tails"(小さな尻尾)の意味でサボテンの一種だが、メキシコ人のスラング(俗語)で、"buds of the Cannabis plant"(大麻草のつぼみ)のことらしく、マリファナの高級品種とか。
※ up ahead: 行く手の、 先の方、 真っ直ぐに行って。
※ in the distance: 遠方に、遠くで、彼方に。
※ shimmering: (形)キラキラ光る、チラチラと光る。 (名)揺らぎ。
※ my sight: (自分の)視力。 眼前。 目の前。
※ grow dim: ぼやけてくる。 (マリファナのせいかも・・・)

※ in the doorway: 玄関口。 出入り口。 戸口。
※ mission: 使い。使命。ミッション。伝道。布教。使節団。御使い。使徒。
※ this could be.. : これは~になる。 これって~になりそうだ。
※ lit up: 照らされて(浮び上って)、 輝いている。
※ show someone the way: 道を~に教える。 ~に道案内をする。
※ down the .. : ~の先の方から。
※ corridor: 回廊。 廊下(通常、部屋の出入り口が幾つも中央に面している廊下を指す)

※ any time: いつでも。
※ one's mind is .. : ~の頭(心)の中は~でいっぱいで。 ~のことを考えている。
※ Tiffany-twisted: "twisted" は「ねじれた」という意味の他に、米俗語として「酔っぱらった」という意味もありますが、それに「ティファニー」という高級ブランドを付けた造語でしょう。上流社会に対する風刺とも。 
※ courtyard: (四方を建物に囲まれた)中庭。
※ to remember (to forget): "to" (~するために)を付けているので、このように訳しておきました。

※ captain: (主に米国で)ホテルのボーイ長。 レストランの給仕長。
※ spirit: 「スピリット」は「精神」の他に「酒」や「アルコール類」を指すので、「ワイン」と「(ロック)スピリット」の両方に掛けた皮肉。 もっとも「スピリット」とはウィスキーやジンやウォッカなど、「蒸留した強い酒」を指すので、ワインの様に度数が低い醗酵酒は入らないとの指摘もある。
※ the middle of the night: 真夜中に。
※ live it up: 【話】贅沢(ぜいたく)に暮す。 大いに楽しむ(騒ぐ)。 豪遊する。
※ What a nice surprise(!): 「これはこれは、ようこそ!」(久しぶりに会った人に、偶然の驚きと喜びを表す)
※ alibi : アリバイ。 証拠。 言い訳。 このあたりも皮肉まじりのようです。

※ on the ceiling: 天井(てんじょう)の。天井に。
※ on ice: 「氷で冷やした(シャンパンのボトル)」と「氷を入れた(シャンパン)」の両方にとれますが、"The pink champagne on ice" とあるから前者の方でしょう。
※ prisoner: 囚人。 捕虜。 捕えられた(自由を奪われた)者。
※ someone's own device: 自分自身で。 (人の)好きにさせる、自由にやらせる。
※ chamber: 部屋。 小部屋。 ここでは "chambers" と複数形になっている。
※ feast: 饗宴。 ご馳走。 喜ばせるもの。 楽しみ。
※ stab: 突き刺す。
※ steely knife: 鋼(はがね)のナイフ。 ナイフは普通スティール(鋼)製だが、「スティーリー・ダン」にイーグルスを揶揄(やゆ)した曲があり、それに対する返礼との解釈があります。
※ beast: 人間に飼われて荷物を運んだり、生贄(いけにえ)にされて食われたりする、牛とか馬などの四足動物を指す。

※ last thing: 最後にすること。 最もやりたくないこと。 最もしそうにないこと。
※ passage back to: 帰る(戻る)ための~。
※ programmed to: (そうするように)プログラム(計画・予定)されている。 
※ check out: (ホテルで)「支払いを済ませて出る」ことだが、米俗語で「死ぬ」とか「くたばる」という意味にもなり、「いつでも死ねるけど、でも出ることはできない」という解釈もできます。      

テーマ : 洋楽歌詞対訳
ジャンル : 音楽

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No title

素敵な訳詞です。私もこの歌は好きで自分でも訳したいと思ったことが何度もあります。

ちょっと気になるところがありましたので、コメントを。

some dance to remember, some dance to forgetは、

思い出に残そうとして踊るものもいれば、
忘れるために踊ろうとしている奴らもいる

という意味ではないでしょうか?

また、Last thing I remember とは、「気がついたら俺はドアの方へ向かって走っていた(中略)何時でもチェックアウトはできるけれど、ここから離れることはできません」まで全体を指しているとも思われます。つまり、この歌に書かれているお話全体が、幻覚であり、その幻覚の中の出来事で、「最後に覚えているのは~部屋から出て行こうとしていたけれど、出て行くことはできないと言われた」ということなのです。
プロフィール

Sumi Haruo

Author:Sumi Haruo
昨年まで老母の介護をしていました。 古い記事へのコメントも大歓迎です。
※記事へのリンクは自由ですが、対訳はあくまでも私個人の解釈なので、訳詞の転載はお断りいたします。
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