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283. Hard Times Come Again No More ハード・タイムス

Hard Times (Come Again No More) ハード・タイムス(カム・アゲン・ノー・モア) 
 邦題:「すべては終わりぬ」、「厳しい時代はもうやって来ない」、「つらい時はもうごめんだ」、「辛い時代」等々

 この曲は1854年に Stephen Fosterスティーブン・フォスター によって書かれたもので、オリジナル録音と呼べるものはありません。

 この曲が最初に録音されたのは1905年にエジソンの蝋管蓄音機によるもので、蝋(ろう)の円筒はレコードのように複製ができないので、100本の蝋管を作るには同じ曲を百回演奏しないとならなかったとか。 円盤式の蓄音機「グラモフォン」が製造・販売されたのは1895年のことで、それから円盤型のレコードが作られるようになりました。

 以前に採り上げた Amazing Grace(アメイジング・グレイス:73回目)と同様、この曲も実に多くの人たちが歌っています。 アメリカ南北戦争の頃は、北軍・南軍双方のお気に入りの曲であったとか。
 この歌は貧困に苦しんでいる人たちに対する同情を歌ったものです。 この曲が作られた頃のフォスターは27歳くらいで、妻子も得て作家として一番円熟していた時期ですが、そうした人がこういう悲しい歌を書くというのはとても興味深いことです。
 もっとも翌年の1855年に両親がなくなり、次の年には兄が亡くなると人生の歯車が狂い始め、10年後の37歳の年には孤独と困窮のうちに変死を遂げていますから、あながち他人事(ひとごと)ではなかったのかもしれません。

 この曲の歌詞は4番まであって、それぞれにコーラスが付くのですが、全部を通して歌っているものは稀です。 大抵は途中を適度に省いて短くしてありますし、部分的に歌詞を変えて歌っている人もいます。 アカペラ(人の声だけで楽器無し)もあれば、インストゥルメンタル(楽曲のみで歌無し)のものもありますので、色々と聴き比べてみると良いでしょう。 残念ながら、この曲だけを集めたコンピレーション・アルバムはまだ作られていないみたいですので・・・


Appalachian Journey 2000年:Appalachian Journeyアパラチア・ワルツ2 (試聴可)
 万人向けで、おそらく一番聴きやすいのがこのヴァージョンでしょう。
Yo-Yo Ma (ヨーヨー・マ:チェロ)、Edgar Meyer (エドガー・メイヤー:ベース)、Mark O'Connor (マーク・オコーナー:ヴァイオリン)の弦楽トリオが、ヴォーカルに James Taylor (ジェームス・テイラー)を迎えて録音したものです。→ 音楽を聴く:

At the Ryman1992年:At the RymanEmmylou Harris and The Nash Ramblers
 エミルー・ハリスは以前に "Hobo's Lullaby"(ホーボーズ・ララバイ:94回目)で採り上げたことのあるカントリー系の女性シンガーです。 これはカントリーの殿堂ライマン公会堂におけるライヴで、The Nash Ramblers との共演を録音したものですが、少し歌詞を変えて歌っています。→ 音楽を聴く:

Good as I Been to You1992年:Good as I Been to Youグッド・アズ・アイ・ビーン・トゥ・ユー
 古い曲を採り上げることの多いボブ・ディランですが、このアルバムは全編をトラディショナル・ソングで固めたもので、フォーク・ギター1本で歌うスタイルは初期のディランを思い出させます。 曲のタイトルはこのアルバムでは "Hard Times "/「辛い時代」となっています。→ 音楽を聴く:

Other Voices, Too1998年:Other Voices, TooNanci Griffith (ナンシー・グリフィス)
 ナンシー・グリフィスもカントリー/フォーク系の女性シンガーで、先のエミルー・ハリスからも最高の敬意を払われているベテランです。
 このアルバムも古き時代のアメリカン・トラディショナル・ソングのカヴァー集になっていますが、落ち着いた歌声は安心して聴いていられます。→ 音楽を聴く:

Unearthed2003年:Unearthedジョニー・キャッシュ
 ジョニー・キャッシュの死後に発売された5枚組みボックス・セットの三枚目に収められている曲です。 50年代から活躍しているこの人はカントリーという枠ではとても囲みきれませんが、こうした静かな曲を歌わせても味わい深いものがあります。 以前ナイン・インチ・ネイルズの "Hurt"(ハート:137回)のカヴァーでちょっと触れましたが、そのうち本人の曲も採り上げてみたいと思います。→  音楽を聴く:

Beautiful Dreamer2004年: Beautiful Dreamerビューティフル・ドリーマー
 これはフォスターが作曲した18の曲を、様々なミュージシャンたちが採り上げて歌っているコンピレーション・アルバムです。 この曲を歌っている Mavis Staples (メルヴィス・ステイプルズ)はゴスペル系のシンガーで、ザ・バンドの「ラスト・ワルツ」に出ていたThe Staple Singers の中の一人です。 この曲はピアノの伴奏で歌われる、ゴスペル風の「ハード・タイムス」です。→ 音楽を聴く:

Hard Times Come Again No More 1Hard Times Come Again No More Volume 1
 この曲と同名タイトルのアルバムですが、アメリカの不況時代の曲が23曲収録されており、アルフレッド・リードの "How Can A Poor Man Stand Such Times And Live" なども入っています。
 この曲を歌っているのは Graham Brothers (グラハム・ブラザース)という人たちですが、全体的にかなり古い録音の曲が集められています。→ 音楽を聴く:

Scenic Routes1992年: Scenic RoutesLost Dogs (ロスト・ドッグス)
 ロスト・ドッグスはオルタナ系ロックバンドのフロントマンたちが集まって結成されたスーパー・グループだそうですが、私は知りませんでした。 これはその最初のアルバムに収められている曲で、アカペラで歌われています。 Amazon. で探しても出てこないところをみると、あまり売れてないみたいですが・・・→ 音楽を聴く:

Think Twice2002年: Think Twice / Eclipse (エクリップス)
 これはコーラス・グループのエクリップスがアカペラで歌うヴァージョンです。 グループ名の "Eclipse" は「日蝕」のことで、アルバム・タイトルの "Think Twice" は「よく考える、熟考する」という意味ですが、現在販売されていないところをみるとあまり売れなかったみたいですね。 なかなか良いのですが・・・→ 音楽を聴く:


Canary Song1993年: A Canary Song / The Smith Sisters (スミス・シスターズ)
 女性デュオのスミス・シスターズによるアカペラ・ヴァージョンで、これは曲の後で観客の拍手や声が聞こえるので、ライヴ録音みたいです。 このアルバムも既に発売中止になっていますね・・・
→ 音楽を聴く:


Glencree
1999年: GlencreePeter Mulvey (ピーター・マルヴェイ)
 ピーター・マルヴェイはアメリカン・フォークのシンガー・ソング・ライターです。 この曲を含むアルバムはアイルランドにおけるライヴ録音で、アコースティック・ギター1本で歌われており、Juliet Turner (ジュリエット・ターナー)という人の歌が途中から入ります。
→ 音楽を聴く:

Eastmountainsouth2003年: EastmountainsouthEastmountainsouth
 「イーストマウンテンサウス」は男女のデュオで、同名タイトルのアルバムを一枚残しただけですが、この曲は "Elizabethtown" (エリザベスタウン)という映画のサウンド・トラックで使われました。 3番の歌詞を省いていますが、この中で一番力強いのはこのヴァージョンかもしれません。→ 音楽を聴く:


Surprise1989年: SurpriseSurprise) / Syd Straw (シド・ストロー)
 シド・ストローはマイケル・スタイプ(R.E.M.)とバンドを組んでいだり、ヴァンダイク・パークスのバック・ヴォーカルとして来日したこともあるそうで、この曲を含むファースト・アルバムには豪華メンバーがゲスト参加しており、この曲ではライ・クーダー(G)、ジム・ケルトナー(D)、ヴァンダイク・パークス(P)の演奏が楽しめます。
 ※YouTube にあったので、リンクを貼っておきます。→  「HARD TIMES」を聴く。

●インストゥルメンタル(楽曲のみ):
 他にも色々ありますがあまりやると疲れるので、最後にギターによる演奏を紹介しておきます。

Dorian Michael (ドリアン・マイケル): この人はブルースやジャズ、フォークやロックのギタリストとして40年くらいプレイしているそうです(私は知りませんが・・・)。 この曲は "Sycamore Creek" というアルバムの最後に収められています。→ 音楽を聴く: (5:23)

Steve Eckels (スティーヴ・エッケルス): この人はクラシック・ギターの演奏者で、同じギターでも両方を聴き比べてみるとだいぶ違います。→  音楽を聴く: (3:21)

  ●歌詞と対訳●

 [1]
Let us pause in life's pleasures
   人生の歓びの中にいても、 それを一時忘れて ※

and count its many tears,
    これまでに流された 多くの涙の数をかぞえてみよう

While we all sup sorrow with the poor;
  夕食を摂る間も、貧しい人たちと悲しみを共にしよう ※

There's a song that will linger forever in our ears;
  永遠に 我たちの耳に鳴り響く歌がある

Oh, Hard times come again no more.
  「あぁ、つらい時なんて もう二度と来ないで」、と ※

(Chorus)
'Tis the song, the sigh of the weary, 
  この歌は、疲れた人たちの漏らす ため息 ※

Hard Times, hard times, come again no more
  つらい時、困難な時なんて、二度と来ないで、と

Many days you have lingered around my cabin door;
  何日も小屋の戸口の周りで響いていた

Oh, hard times come again no more.
  「あぁ、つらい時なんて もう二度と来ないで」、と

[2]
While we seek mirth and beauty
   私たちが 歓楽や美しい人を探し ※

and music light and gay,
   明るい陽気な音楽を求めているあいだにも ※

There are frail forms fainting at the door;
  戸口では 弱った人が倒れかけている ※

Though their voices are silent,
   彼らは 声には出さないけれど ※

their pleading looks will say
   その訴えかけるような眼差しは こう言っているようだ ※
 
Oh, hard times come again no more. 
 「あぁ、苦しい時なんて、 もうたくさん」、と

(Chorus)
'Tis the song, the sigh of the weary, 
  この歌は、疲れた人たちの漏らす ため息

Hard Times, hard times, come again no more
  つらい時、困難な時なんて、二度と来ないで、と

Many days you have lingered around my cabin door;
  何日も小屋の戸口の周りで響いていた

Oh, hard times come again no more.
  「あぁ、つらい時なんて もう二度と来ないで」、と

[3]
There's a pale drooping maiden
  蒼ざめた顔をして うなだれている娘がいる ※

who toils her life away,
   彼女はつらい仕事を ずっと働き続け ※

With a worn heart whose better days are o'er:
  良き日々は過ぎ去り、疲れた心を抱えてる ※

Though her voice would be merry,
  彼女の声が 明るくあればいいのにと思うけど ※

'tis sighing all the day,
   今はあらゆる日々に ため息をついている

Oh, hard times come again no more.
  「あぁ、つらい時なんて もう二度と来ないで」、と

(Chorus)
'Tis the song, the sigh of the weary,
   この歌は、疲れた人たちの漏らす ため息

Hard Times, hard times, come again no more
  つらい時、困難な時なんて、二度と来ないで、と

Many days you have lingered around my cabin door;
  何日も小屋の戸口の周りで響いていた

Oh, hard times come again no more.
  「あぁ、つらい時なんて もう二度と来ないで」、と

[4]
Tis a sigh that is wafted across the troubled wave,
  荒波の彼方から 漂って来るのはため息 ※

Tis a wail that is heard upon the shore
  岸辺に聞こえるのは 嘆き悲しむ人の声 ※

Tis a dirge that is murmured
   つぶやくような 死者を悼む哀歌が  ※

around the lowly grave
     低い墓場の辺りから(聞こえてくる) 
  
Oh, hard times come again no more.
  「あぁ、つらい時なんて もう二度と来ないで」、と

(Chorus)
'Tis the song, the sigh of the weary,
   この歌は、疲れた人たちの漏らす ため息

Hard Times, hard times, come again no more
  つらい時、困難な時なんて、二度と来ないで、と

Many days you have lingered around my cabin door;
  何日も小屋の戸口の周りで響いていた

Oh, hard times come again no more.
  「あぁ、つらい時なんて もう二度と来ないで」、と


※ pause: ポーズ、中断、一時停止する。 一息つく。
※ life's (simple) pleasure: 人生の(ささやかな)喜び。 "life of pleasure" だと「放蕩生活」にもなる。
※ sup: 夕食を摂る。
※ Hard time: つらい時期、苦境の期間、難局、不景気。 この曲が作られた同じ年(1854年)、英国のチャールズ・ディケンズ(Charles Dickens)に同名タイトルの小説「Hard Times」があり、邦題は「つらいご時世」。
※ no more: これ以上~しないで、 もう~しないで。 もうたくさんだ。 "No more discussion" (それ以上話すことは無い)。"No more excuses" (言い訳はもうたくさん)。

※ 'Tis [tiz]: "It is" の古い略し方。 "It's" と新しい形にして歌っている人もいます。
※ mirth: 歓楽、歓喜、笑い、浮かれ騒ぎ。
※ beauty: 美しい人、美人、美女。 "Beauty And the Beast" (美女と野獣)。
※ gay: 「陽気な」や「快活な」の古い表現。 同性愛者の「ゲイ」も同じスペル。
※ frail:(人や体の)弱い、虚弱な、病弱な。
※ fainting: 気絶、失神、卒倒。
※ silent: 無言の、声に出さない。
※ pleading: 訴えるような、嘆願する(ような)、申し立てをする。

※ drooping: うなだれる。 垂れ下がる。 しおれる。
※ maiden: 娘、生娘、処女。 乙女、少女。
※ toil away: あくせく働き続ける、セッセと働く、苦労して(骨を折って)働く。
※ worn: 疲れきった、擦り切れて、ボロボロになった。
※ o'er: over の縮約形
※ Though it would be: そうあって欲しいと思う。 そうだったらいい(のに)と思う。
※ merry: 陽気な、快活な。 お祭り気分の。

※ troubled wave: "troubled waters" だと「荒波」や「荒れた海」となりますから、「荒波」としておきました。
※ wail: (悲嘆や苦しみで)うめき声をあげる。 泣き叫ぶ。
※ dirge: (死者を悼む)哀歌、悲歌、葬送歌、挽歌。
※ murmure: つぶやき、ささやき(声)。
※ lowly: 1.低い、低地の。 2.身分の低い、卑しい。
※ grave: 墓、墓場。

テーマ : 洋楽歌詞対訳
ジャンル : 音楽

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Hard Times

Sumi Haruo様
 拝啓 ブログを興味深く読ませていただきました。良く調べておられることに感心するとともに、この曲の理解を深めることができたことに感謝いたします。
 さて、決してケチをつける意図はないのですが、英訳に一部、私と解釈が異なる場所がありまして、私の意見を聞いていただけないかなと思い、メッセージをお送りする次第です。
 4番ですが「lowly」は「みすぼらしい」という意味だと思います。そして「lowly」は「聞こえてくる」を修飾しているのではなく「grave」を修飾していると思います。
 ところで、4番は「Tis a ....」という形が3行連続していますので、あえて「それは......だ」という形にするのも力強くて良いのではないかと思います。

  それは、荒波の向こうから漂う溜め息だ
  それは、岸の上に聞こえるむせび声だ
  それは、みすぼらしい墓の周りでつぶやかれる葬送歌だ

 いかがでしょうか?最初にも書きましたが、貴殿にケチをつける意図はありません。貴殿のページがより良いものになれば、という思いだけで他意はありません。お読みいただき、ありがとうございました。 敬具
--
Tamito

Tamito さん、こんにちは

ご意見をいただき、ありがとうございます。
このブログの対訳はあくまでも私個人の解釈なので、こうした別の解釈は他の人の参考になるでしょう。
特に昔の歌詞は今と時代感覚が違うので、解釈の仕方が難しいですね。
それと、訳文はなるべく横一列でスッキリと収まるように省略しているところもあるので、文法的に完全な訳にはなっていません。

私の対訳はあくまでも原文を読むための補助的なもので、原文を読みながら自分なりのイメージを膨らませてもらえれば、それが一番良い聴き方ではないかと思っています。 完全な訳といえるものは、おそらくありませんから。
プロフィール

Sumi Haruo

Author:Sumi Haruo
昨年まで老母の介護をしていました。 古い記事へのコメントも大歓迎です。
※記事へのリンクは自由ですが、対訳はあくまでも私個人の解釈なので、訳詞の転載はお断りいたします。
訳詞を掲載したい場合は、記事へのリンクを貼るという形にして下さい。

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