281. The Dark End of the Street ダーク・エンド・オブ・ザ・ストリート

The Dark End of the Street ダーク・エンド・オブ・ザ・ストリート : James Carr ジェイムス・カー

 ジェイムス・カーの代表曲の中で、おそらく一番人気があるのがこの曲でしょう。 当時のビルボードのブラック・チャートで10位、ポップ・チャートでは77位と大したヒットにはなりませんでしたが、現在に至るまで多くのミュージシャンにカヴァーされている名曲の一つです。


'87 Compilation Alubm
Alubm : You Got My Mind Messed Up
  Goldwax Singles

Released: 1967
Written by: Dan Penn, Chips Moman
Produced by: Quinton Claunch, Rudolph Russell

  ジェイムス・カーについて:
James Carr
 フリー百科事典『ウィキペディア』  

 私が初めてこの曲を聴いたのはライ・クーダーのサード・アルバム "Boomer's Story"/「流れ者の物語」(1972年)に収められていた インストゥルメンタル・ヴァージョン でした。 楽曲だけで歌詞はなく、曲のタイトルからイメージを膨らませていたのですが、かえって様々な情景が浮かんできたものです。
 この曲はその後ライヴ・アルバムの "Show Time"/「ショー・タイム」(1977年)でも再び採り上げていますが、その時はボビー・キングやテリー・エヴァンスらのコーラス隊に歌わせていました。

 ライ・クーダーは "The Slide Area"/「スライド・エリア」(1982年)というアルバムでもジェイムス・カーの曲、"That The Way Love Turned Out For Me" (邦題:「愛とはいつもこんなもの」)を採り上げています。 もっともアレンジはガラッと変えて切ないバラードに作り変えているので、とても同じ曲とは思えないかもしれません。 ライ・クーダーの音楽は、当時ロック寄りの曲ばかり聴いていた私に、色々な音楽やミュージシャンを紹介してくれることになりました。

曲について:
 この曲は "Muscle Shoals Sound Studio"(マッスル・ショールズ・サウンド・スタジオ)のソング・ライターである Dan Penn (ダン・ペン)と Chips Moman (チップス・モーマン)の二人によって書かれました。 「チップス」というのはもちろんニックネームで、モーマンはフィル・スペクターの "Gold Star Studio" でギタリストをやっていたこともあるとか。 
 二人は1966年にメンフィスで開催されたDJ(ディスク・ジョッキー)会議でフロリダのDJ ドン・シュレーダーとトランプをしていて(一体どんな会議だ?)、その休憩時間にこの曲を30分ほどで書いたそうですが、意外なのはこの曲を書いた二人が白人であるということ。
 これは不倫の歌で、してはいけない恋をしている二人がいつも隠れて会う「通りの外れにある暗がり」が曲のタイトルになっています。 この曲は多くの人の心に響くようで、これまでに様々な人たちによってカヴァーされ、歌い継がれてきました。 どれが良いというより好のみの問題もありますから、Grooveshark で聴ける曲にはアーティスト名にリンクを貼っておきましたので、聴き比べてみると新しい発見があるかもしれません。

カヴァー・ヴァージョン:
*Aretha Franklin (アレサ・フランクリン): 1970年のアルバム "This Girl's in Love with You" に収められているヴァージョンです。 「クイーン・オブ・ソウル」や「レディ・ソウル」の異名を持ち、オーティス・レディングと共にサザン・ソウルの隆盛に貢献した人ですが、この人が歌うとどんな曲でも自分の歌になってしまいます。
*Percy Sledge (パーシー・スレッジ): このヴァージョンは2006年のイギリス映画 "This Is England" で使われたそうです。
*Ry Cooder (ライ・クーダー): 先にも触れましたが、インストゥルメンタルで歌はありません。 ギターの名手の演奏をお楽しみ下さい。
*The Flying Burrito Brothers (フライング・バリット・ブラザーズ): グラム・パーソンズが「バーズ」を脱退後に結成したグループです。
*Gram Parsons (グラム・パーソンズ): そのグラム・パーソンズがソロ名義で歌っている、これはライヴ・ヴァージョンです。
*Linda Thompson and Richard Thompson (リンダ&リチャード・トンプソン): 元フェアポート・コンヴェンション(Fairport Convention) のリチャード・トンプソンと奥さんのリンダによるライヴ・ヴァージョンです。
*Linda Ronstadt (リンダ・ロンシュタット): ロックしていた頃のイメージとはだいぶ違いますが、元々ジャズやフォーク・ロックやカントリー・ロックなどがベースになっている人だけに、意外と良いです。
*Elvis Costello (エルビス・コステロ): この人はパンク調の曲をやったり、かと思うと "She"(シー)のような曲をヒットさせたりしてもいます。

 他にも、Frank Black (フランク・ブラック)、Joe Tex (ジョー・タックス)、それに Porter Wagoner and Dolly Parton (ドリー・パートン)が1968年の "Just the Two of Us" というデュエット・アルバムで歌っています。 (ドリー・パートンの方は声が可愛すぎますが・・・)

 Grooveshark では曲が見つかりませんでしたが、Bruce Springsteen (ブルース・スプリングスティーン)や The Allman Brothers Band (オールマン・ブラザース・バンド )も歌っているようです。
 最近では2008年に Cat Power (キャット・パワー)こと Chan Marshall (ショーン・マーシャル)が、その名も "Dark End of the Street" というEPアルバムで採り上げています。 こうした若い人が歌うことで、新しい世代にもかつての名曲が受け継がれて行くのでしょう。


The Dark End of the Street 『ダーク・エンド・オブ・ザ・ストリート』を聴く:
(※開くまでに時間がかかりますが、のんびりお待ち下さい。 しばらくすると、自動的に再生が始まります)

  ●歌詞と対訳●

At the dark end of the street   通りの外れにある暗がり
That's where we always meet   そこは俺たちが いつも会うところ
Hiding in shadows where we don't belong  居てはいけない場所で 物影に隠れ ※
Living in darkness to hide our wrong   二人の過ちを隠すために 暗がりで生きる

You and me   お前と俺は
At the dark end of the street   通りの外れにある暗がりにいる
You and me   お前と俺

I know time is gonna take its toll   時は 大きな犠牲を強いるだろう ※
We have to pay for the love that we stole  俺たちはいずれ 奪った愛の代価を支払わねば
It's a sin and we know it's wrong   それは罪なことで、過ちだと分かっているから
Oh, but our love keeps coming on strong  でも俺たちの愛は 強くなるばかり ※
Steal away to the dark end of the street  通りの外れの暗がりで (人から)盗んだ愛だけど ※
Oooooh...

They're gonna to find us   いずれ 俺たちは見つかるだろう
They're gonna to find us    彼らは 俺たち(の不倫の現場)を見つけるだろう
They're gonna to find us   いずれ 俺たちは見つかるだろう
Lord, someday     あぁ、いつの日か ※

You and me    お前と俺を
At the dark end of the street   通りの外れにある暗がりにいる
You and me   お前と俺を

And when the daylight hours roll round   そして 明るい昼の時が巡って来て、 ※
And by chance we're both downtown  偶然二人が ダウンタウン(繁華街)で
If we should meet    もし俺たちが 出会ってしまったとしても
Just walk on by   ただそのまま (黙って)通り過ぎることにしよう
Oh, darling, please don't cry   あぁ、ダーリン、 お願いだから泣かないでくれ

Tonight we'll meet   今夜 俺たちは会おう
At the dark end of the street   通りの外れにある暗がりで
Oooooh...


※ don't belong: 「居るべき場所でない」とか「居心地が悪い」ですが、"don't be long" (長く居られない)となっている歌詞もあります。 "belong" と "wrong", "strong" で韻を踏んでいます。
※ take its toll: 大損失(大被害)をもたらす、大打撃を与える、死者(犠牲者)を出す、人命を失わせる。 これも "toll" と次の "stole" で韻を踏んでいます。
※ coming on strong: 強くなってきている。
※ Steal away: (こっそり)盗み取る。
※ Lord: この場合は単に「あぁ」とか「おぉ」といった感嘆詞で、無理に「主(しゅ)」と結びつけることもないでしょう。
※ roll around: (月日や季節が)巡って来る、近づく。
※ by chance: 偶然、たまたま。
※ walk on: 歩き続ける。


 記事の編集

テーマ : 洋楽歌詞対訳
ジャンル : 音楽

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Sumi Haruo

Author:Sumi Haruo
昨年まで老母の介護をしていました。 古い記事へのコメントも大歓迎です。
※記事へのリンクは自由ですが、対訳はあくまでも私個人の解釈なので、訳詞の転載はお断りいたします。
訳詞を掲載したい場合は、記事へのリンクを貼るという形にして下さい。

全記事タイトル表示リンク

全記事タイトルを表示

カテゴリ
最新記事
最新コメント
検索フォーム
FC2カウンター
フリーエリア


累計: 検索エンジン登録
本日: SEO対策
昨日: メール配信

アクセスアップ

Mail Form:メールフォーム

リンク
電子書籍
Amazonから電子書籍を出版しました
QRコード
QR
RSSリンクの表示