274. Somethin' Stupid 恋のひとこと
Somethin' Stupid サムシン・ステューピッド (恋のひとこと) :
Frank Sinatra and Nancy Sinatra フランク・シナトラ & ナンシー・シナトラ
1967年にフランク・シナトラとナンシー・シナトラ親子のデュエットで全米1位となった曲ですが、2001年にはロビー・ウィリアムズとニコール・キッドマンのデュエットでも英国で1位となっており、今回はオリジナルも含めた三曲を聴き比べてみることにしました。
この曲のオリジナルは作曲者の Carson Parks (カーソン・パークス)とその妻 Gaile Foote(ゲイル・フーテ) とが 「Carson and Gaile」 名義でレコーディングしたものです。
Carson and Gaile (カーソン&ゲイル):
カーソン・パークスはヴァン・ダイク・パークスのお兄さんで、一時期一緒にグループを組んでいたこともありました。
それから "Greenwood County Singers" とか "The Greenwoods" といったバンドをやっていて、グループ解散前にそのグループにいたシンガーのゲイル・フーテと結婚し、二人のユニットでも活動を始めたようです。
1967年に発売された上のアルバム・ジャケットを見ると、この曲のヒットを受けて急遽右上に "SOMETHING STUPID" とシールを貼ったことが分かって微笑ましいですが、このアルバムのリリースはシナトラのヒット後だったようです。 オリジナル・ヴァージョンは カーソン・パークスのホーム・ページ から最初の部分を聴くことができるようになっていますが、全曲を通して聴いてみたい方はこちら。
→ Carson and Gaile : "Something Stupid" (Original Version 2:02)
この曲をフランク・シナトラに歌わせようとしたのは、"The Greenwoods" のマネージャーだった Wally Brady (ウォーリー・ブレディ)で、シナトラの一行がバーバンク空港に来るのを知ったウォーリーが、相棒の Mo Osten (モ・オースティン)に直接交渉に行かせた―というエピソードがカーソン・パークスのホームページに書かれていました。
その後シナトラにこの曲を娘のナンシーと歌うように勧めたのは、ナンシー・シナトラを大人の女にイメージ・チェンジさせたプロデューサーのリー・ヘイゼルウッドで、この曲のプロデュースもやっています。 作者のカーソン・パークスは、シナトラに歌ってもらえるかどうかでずっとやきもきしていたようですが、1967年2月1日に無事レコーディングされました。 ギターの演奏は Al Casey (アル・ケイシー)とのことです。
この曲はトップ10に入るだろうと言うシナトラに対し、まったく自信のなかったモ・オースティンは2ドルを賭けたそうですが、見事全米1位となり、オースティンはフレームに入れた2ドル札を二人に贈ったとか。 (当時は1ドル:360円の固定相場で、アルバイトの時給が180円くらいでしたから、現在の3千円くらい?)
そしてその頃18ドルくらいしか持っていなかったカーソン・パークスは、マネージャーのウォーリーから前金で500ドルもらえることになり、更にその倍額を後から受け取れるということになりました。
シナトラはこの前年に "Strangers in the Night" (夜のストレンジャー)が全米1位になっており、娘のナンシーも "These Boots Are Made For Walkin'" (にくい貴方)がやはり1位となっていて、親子で二年連続の全米1位を獲得しています。
Robbie Williams version: (2001)
元テイク・ザットの ロビー・ウィリアムズ が女優の ニコール・キッドマン と歌ったヴァージョンも、2001年に英国で1位のヒットとなっています。 ニコール・キッドマンの歌声は初めて聴きましたが、思ったよりも歌が上手なのでびっくりしました。 シナトラに敬意を表してか、カラオケみたいに元歌とほぼ同じアレンジになっていますが、34年後の録音ということでさすがに音質はこちらの方がクリアーです。 私は正直言ってシナトラの歌声が苦手なので、こちらの方が聴きやすいですけど・・・
この曲は SWING WHEN YOU'RE WINNING/ (スウィング・ホェン・ユーアー・ウィニング)というカヴァー・アルバムに収められています。
→ Robbie Williams featuring Nicole Kidman の "Somethin' Stupid" を聴く。
ところでこの曲のタイトルになっている "Something Stupid" は「何かつまらないこと」といった意味で、恋人の前で気の利いたことを言いたいのに、いざとなると昔ながらの「アイ・ラヴ・ユー」といった「つまらないこと」を言ってしまうという男の心情を歌っています。
シナトラの口癖である、 “that’s totally stupid”(まったく馬鹿げてる)とか、“how could you do anything that stoopid?”(何だってそんな馬鹿なことをしでかしたんだ?) ―という言葉をウォーリー・ブレディが車の中で思い出したとかで、それがこのタイトルのヒントになったのかもしれません。
ゆったりした曲調の割には歌詞がずっと切れ目なく続くので、私はとても一緒には歌えません。 一緒に歌うなら、オリジナル・ヴァージョンが一番ゆっくりしていて歌いやすいです。
歌詞も本来なら切らずに続ける方が良いのですが、それだと読みづらいだけでなく訳しにくいので、野暮ではありますが短く切ってあります。 普段ならこうした曲はあまり採り上げないのですが、たまにはこんな肩の凝らない曲も良いでしょう。
"Somethin' Stupid" 『サムシン・ステューピッド(恋のひとこと)』を聴く:(Frank & Nancy Sinatra) (2:39)
●歌詞と対訳●
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Frank Sinatra and Nancy Sinatra フランク・シナトラ & ナンシー・シナトラ
1967年にフランク・シナトラとナンシー・シナトラ親子のデュエットで全米1位となった曲ですが、2001年にはロビー・ウィリアムズとニコール・キッドマンのデュエットでも英国で1位となっており、今回はオリジナルも含めた三曲を聴き比べてみることにしました。
Alubm : The World We Knew
/ シナトラ、ザ・ベスト!
(試聴可)
Released: 1967
Written by: Carson Parks (カーソン・パークス)
Produced by: Lee Hazlewood (リー・ヘイゼルウッド)
フランク・シナトラについて:
Frank Sinatra and Nancy Sinatra フリー百科事典『ウィキペディア』
この曲のオリジナルは作曲者の Carson Parks (カーソン・パークス)とその妻 Gaile Foote(ゲイル・フーテ) とが 「Carson and Gaile」 名義でレコーディングしたものです。

カーソン・パークスはヴァン・ダイク・パークスのお兄さんで、一時期一緒にグループを組んでいたこともありました。
それから "Greenwood County Singers" とか "The Greenwoods" といったバンドをやっていて、グループ解散前にそのグループにいたシンガーのゲイル・フーテと結婚し、二人のユニットでも活動を始めたようです。
1967年に発売された上のアルバム・ジャケットを見ると、この曲のヒットを受けて急遽右上に "SOMETHING STUPID" とシールを貼ったことが分かって微笑ましいですが、このアルバムのリリースはシナトラのヒット後だったようです。 オリジナル・ヴァージョンは カーソン・パークスのホーム・ページ から最初の部分を聴くことができるようになっていますが、全曲を通して聴いてみたい方はこちら。
→ Carson and Gaile : "Something Stupid" (Original Version 2:02)
この曲をフランク・シナトラに歌わせようとしたのは、"The Greenwoods" のマネージャーだった Wally Brady (ウォーリー・ブレディ)で、シナトラの一行がバーバンク空港に来るのを知ったウォーリーが、相棒の Mo Osten (モ・オースティン)に直接交渉に行かせた―というエピソードがカーソン・パークスのホームページに書かれていました。
その後シナトラにこの曲を娘のナンシーと歌うように勧めたのは、ナンシー・シナトラを大人の女にイメージ・チェンジさせたプロデューサーのリー・ヘイゼルウッドで、この曲のプロデュースもやっています。 作者のカーソン・パークスは、シナトラに歌ってもらえるかどうかでずっとやきもきしていたようですが、1967年2月1日に無事レコーディングされました。 ギターの演奏は Al Casey (アル・ケイシー)とのことです。
この曲はトップ10に入るだろうと言うシナトラに対し、まったく自信のなかったモ・オースティンは2ドルを賭けたそうですが、見事全米1位となり、オースティンはフレームに入れた2ドル札を二人に贈ったとか。 (当時は1ドル:360円の固定相場で、アルバイトの時給が180円くらいでしたから、現在の3千円くらい?)
そしてその頃18ドルくらいしか持っていなかったカーソン・パークスは、マネージャーのウォーリーから前金で500ドルもらえることになり、更にその倍額を後から受け取れるということになりました。
シナトラはこの前年に "Strangers in the Night" (夜のストレンジャー)が全米1位になっており、娘のナンシーも "These Boots Are Made For Walkin'" (にくい貴方)がやはり1位となっていて、親子で二年連続の全米1位を獲得しています。

元テイク・ザットの ロビー・ウィリアムズ が女優の ニコール・キッドマン と歌ったヴァージョンも、2001年に英国で1位のヒットとなっています。 ニコール・キッドマンの歌声は初めて聴きましたが、思ったよりも歌が上手なのでびっくりしました。 シナトラに敬意を表してか、カラオケみたいに元歌とほぼ同じアレンジになっていますが、34年後の録音ということでさすがに音質はこちらの方がクリアーです。 私は正直言ってシナトラの歌声が苦手なので、こちらの方が聴きやすいですけど・・・
この曲は SWING WHEN YOU'RE WINNING/ (スウィング・ホェン・ユーアー・ウィニング)というカヴァー・アルバムに収められています。
→ Robbie Williams featuring Nicole Kidman の "Somethin' Stupid" を聴く。
ところでこの曲のタイトルになっている "Something Stupid" は「何かつまらないこと」といった意味で、恋人の前で気の利いたことを言いたいのに、いざとなると昔ながらの「アイ・ラヴ・ユー」といった「つまらないこと」を言ってしまうという男の心情を歌っています。
シナトラの口癖である、 “that’s totally stupid”(まったく馬鹿げてる)とか、“how could you do anything that stoopid?”(何だってそんな馬鹿なことをしでかしたんだ?) ―という言葉をウォーリー・ブレディが車の中で思い出したとかで、それがこのタイトルのヒントになったのかもしれません。
ゆったりした曲調の割には歌詞がずっと切れ目なく続くので、私はとても一緒には歌えません。 一緒に歌うなら、オリジナル・ヴァージョンが一番ゆっくりしていて歌いやすいです。
歌詞も本来なら切らずに続ける方が良いのですが、それだと読みづらいだけでなく訳しにくいので、野暮ではありますが短く切ってあります。 普段ならこうした曲はあまり採り上げないのですが、たまにはこんな肩の凝らない曲も良いでしょう。
"Somethin' Stupid" 『サムシン・ステューピッド(恋のひとこと)』を聴く:(Frank & Nancy Sinatra) (2:39)
●歌詞と対訳●
I know I stand in line 並んで待つことになるのは わかってる
until you think you have the time きみに時間が出来て
To spend an evening with me. 夕べを一緒に過ごせる時まで
And if we go someplace to dance, どこか 踊れるところへ行ったら
I know that there's a chance その時がチャンスだ
You won't be leaving with me. きみはぼくを残して 立ち去ったりはしないだろうから
And afterwards we drop into a quiet little place その後、静かでこじんまりした店に寄って
and have a drink or two. それから お酒を少し飲んで
And then I go and spoil it all でもその後で 全てを台無しにしてしまうかもしれない
by saying something stupid 何か馬鹿げたことを言ってしまって
like "I love you" (たとえば)「愛してる」みたいな (古くさいことを)
I can see it in your eyes きみの瞳を見れば わかるんだ
That you despise the same old lies そうした古くさい戯言(たわごと)の嫌いなことが
you heard the night before. この前の晩にも きみが耳にしたような言葉を
And though it's just a line to you, きみにはそれが ただのセリフにすぎなくても
for me it's true ぼくにとっては それが本当のことだから
And never seemed so right before. 以前は決して ピッタリだとは思えなかったけど
I practice every day (だから)ぼくは毎日練習してるんだ
to find some clever lines to say 何か 気の利いたセリフが見つからないかと
To make the meaning come true. 本当の気持ちを 確実に伝えるために
But then I think I'll wait でも ぼくは待つことになるだろう
until the evening gets late 夜がすっかり更ける時まで
and I'm alone with you. そして きみと二人きりになれたら
The time is right, その時が 絶好のタイミング
your perfume fills my head, きみの香水の香りが ぼくを満たし、
the stars get red (夜空の)星々は 赤く輝き
and (oh) the night's so blue. 夜空が とても蒼い (その時に)
And then I go and spoil it all でもぼくは 全てを台無しにしてしまうかも
by saying something stupid 何か間の抜けたことを言ってしまって
like "I love you" 「愛してる」みたいな (昔ながらのことを)
[instrumental] (間奏) (※オリジナルはここまで)
The time is right, それを言うなら 今がチャンス、
your perfume fills my head, きみの香水の香りが ぼくを満たし、
the stars get red 星々は 赤く輝き
and (oh) the night's so blue. 夜空がとても蒼い (この願ってもない時に)
And then I go and spoil it all でもその時になって 全てを台無しにしてしまうかも
by saying something stupid 何かつまらないことを言ってしまって
like "I love you" 「愛してる」みたいな (誰もが言うセリフを)
I love you アイ・ラヴ・ユー
I love you 愛してる
I love you アイ・ラヴ・ユーって・・・
※ stand in line: 列に並ぶ、並んで待つ。
※ have the time: 時間がある、手が空く。
※ drop into: ~に立ち寄る。
※ have a drink or two: 直訳すると「1杯か2杯飲む」で、「ちょっと飲む」くらいの感じ。
※ say something stupid: 何か馬鹿げた(くだらない)ことを言う。
※ same old: いつもの、お決まりの、よくある、古くからの。
"lie" はこの場合「嘘」というより、「悪気の無い嘘」とか「空言」(そらごと)や「戯言」(たわごと/ざれごと)といったもの。
※ the night before: 前の晩、前夜。 (この男は前の晩も同じセリフを言ってしまったようです)
次のライン(行)の語尾に来る "so right before" と並べて韻(いん)を踏んでいます。
※ make meaning: 意味を明確にする、意味をはっきりさせる。
※ come true: (夢などが)「本当になる」、「実現する」。
※ alone with you: あなたと二人きり。
※ the time is right: ちょうどいい時(タイミング)、適した時、潮時、頃合い、適当な時。
※ fills one's head:直訳すると「頭の中がいっぱいになる」とか「頭が満たされる」ですが、それだと詩的でないので、「香水の香りで満たされる」くらいの感じでしょう。
次の「星が赤い」というのも日本語にするとおかしな表現ですが、語尾の "head" と "red" で韻を踏んでいる訳です。
"red" の次に "blue" が来るのも赤と青を対比させてのことで、それを直訳するとご覧の通り野暮な訳文になってしまいます。 何か良い訳語があると良いのですが・・・
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