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269. Gone The Rainbow 虹と共に消えた恋

Gone The Rainbow 虹と共に消えた恋 : Peter, Paul and Mary ピーター・ポール&マリー

 この曲は最初セカンド・シングル "If I Had A Hammer" (天使のハンマー)のB面に入っていたもので、翌年セカンド・アルバムにも収められましたが、シングルになったのは日本だけです。 ベスト版でもこの曲が収録されているのは国内版だけで、それだけ日本での人気は高いのですが、当時は何度ラジオに耳を傾けてもコーラスの部分が聴き取れませんでした。


Japanese Single
Alubm : Moving (Import)
  ベスト・オブP.P&M
(試聴可)
Released: 1962 (Alubm 1963)
Written by: Paul Stookey, Mary Travers, Peter Yarrow, Milt Okun
Produced by: Albert Grossman

  ピーター・ポール&マリーについて
(L to R) Peter, Paul and Mary
 フリー百科事典『ウィキペディア』  

 この曲のオリジナルは17世紀のアイルランドで歌われていた "Siúil A Rúin" (シューラールゥ)という曲が基(もと)になっています。 歌詞は英語でコーラスの部分だけがアイルランド語(ゲール語)で歌われていて、タイトルをWeb翻訳で英語に変換してみると "Walking secrets "(こっそりやって来て)となりました。

 当時イングランドとフランスの間で戦争があり、イングランドに虐(しいた)げられてきたアイルランドの人たちもその戦争に駆り出されるのですが、愛する人を戦争で奪われた女性たちがイングランドの人たちには分からないゲール語でコーラスの部分を歌っていたようです。
 その後アイルランド移民の人たちによってアメリカにも伝わり、"Johnny Has Gone for a Soldier" とか、"Buttermilk Hill" というタイトルの歌となって独立戦争の頃に歌われたようで、どちらも歌詞の中にそうしたフレーズが出てきます。

 P.P&M(ピーター・ポール&マリー)の頃はヴェトナム戦争の時代で、やはり反戦歌として歌われていました。 彼らの曲には他にも反戦歌が幾つかありますが、声高(こわだか)に戦争反対を叫ぶのではなく、静かな曲に乗せてその悲しみを歌うというのが彼らのスタイルでした。

 アイルランド語(ゲール語)のコーラスの部分をWeb翻訳で英語に変換してみると、
Siúil, siúil, siúil a rúin  Walk, walk, walking Secrets  そっと、忍び足でやってきて
Siúil go socair agus siúil go ciúin Walk quietly and silently walking 静かに音を立てずにきて
Siúil go doras agus éalaigh liom Walk to the door and escaped with me 戸口まで行き
Is go dté tú mo mhúirnín slán  It may you go, my darling  一緒に逃げましょう、 愛しい人
 ―となりました。 いきなり日本語に変換するより間違いは少ないと思いますが、ゲール語に堪能な方がおられましたらフォローをお願いします。
(※ブラウザがIEの場合正しく表示されないので、Chrome や Firefox など他のブラウザを利用して下さい)

 P.P&M の場合はゲール語の発音をアルファベットの表記にしているので、歌詞だけ読んでも意味は分かりません。 コーラスの上二行はゲール語、下二行は半分英語表記に見えますが、英語として読もうとするとやはり意味が分からなくなります。 わざと意味が分からないように歌うのがこの曲の特徴であれば、あまり穿鑿(せんさく)しない方が良いのかもしれません。

 "Siúil A Rúin" のコーラスには英語のヴァージョンもあり、そこでは
Go, go, go my love   行きましょう、 私の愛しい人
Go quietly and peacefully   静かに、 穏やかに進んで
Go to the door and flee with me   戸口に立って、 私と一緒に逃げましょう
And may you go safely my dear.    そして安全なところへと行きましょう、 愛しい人よ
 ―となりますから、アイルランド語をWeb翻訳したものでも、意味は割りと合っていることになります。

 ところでこの "Siúil A Rúin" (シューラールゥ:忍んで来る)というフレーズですが、日本では占いの世界で既に使われているらしく、この呪文(?)の言葉を唱えると恋の病に効くとか、別れた恋人が戻ってくるといったことが実(まこと)しやかに囁(ささや)かれています。 こうしたことは、欧米の人が漢字の意味も知らずにタトゥー(いれずみ)を入れたりファッションに使ったりするのと似ていますが、確かに「愛する人に帰ってきてほしい」という願いがこの歌には込められています。 それが「まじない」として効果があるかどうかは別ですが・・・


Peter, Paul and Mary:
* Peter Yarrow (ピーター・ヤーロウ): vocals, guitar
* Noel "Paul" Stookey (ノエル・ストゥーキー): vocals, guitar
* Mary Travers (マリー・トラヴァース): vocals  (※2009年9月16日・没)

Gone The Rainbow 『虹と共に消えた恋』を聴く: (2:43)
(※開くまでに時間がかかりますが、のんびりお待ち下さい。 しばらくすると、自動的に再生が始まります)

  ●歌詞と対訳● (※Internet Explorerでは文字化けします)

(Chorus)
Shule, shule, shule-a-roo,   (Siúil, siúil, siúil a rúin)  ※ゲール語の歌詞
Shule-a-rak-shak, shule-a-ba-ba-coo.  (Siúil go socair agus siúil go ciúin)
When I saw my sally babby beal,   (Siúil go doras agus éalaigh liom) 
Come bibble in the boo shy lorey.   (Is go dté tú mo mhúirnín slán)
(Chorus)
Shule, shule, shule-a-roo,    Walk, walk, walking secrets ※上を英語に変換したもの
Shule-a-rak-shak, shule-a-ba-ba-coo.     Walk quietly and silently walking
When I saw my sally babby beal,   Walk to the door and escaped with me  
Come bibble in the boo shy lorey.   It may you go, my darling


Here I sit on buttermilk hill;   このバターミルクの様な(曇った)丘の上に座って ※
Who could blame me, cry my fill;  誰にもとがめられず、 思い切り泣いてみたい ※ 
Every tear would turn a mill,  あふれ出る涙で、(粉挽き場の)水車が回るほど ※
Johnny’s gone for a soldier.   ジョニーは兵士となって (戦場に)行ってしまったから

(Chorus)
Shule, shule, shule-a-roo,    そっと、そっと、忍び足でやってきて ※
Shule-a-rak-shak, shule-a-ba-ba-coo.   静かに、音を立てずにやってきて
When I saw my sally babby beal,    私と戸口のところまで行って、 そして ※ 
Come bibble in the boo shy lorey.   一緒に逃げましょう、 愛しい人


I sold my flax, I sold my wheel,  私は亜麻糸を売り、(それを紡ぐ)紡ぎ車も売り払った ※
To buy my love a sword of steel;  私の愛しい人が 鋼(はがね)の剣を買うために;
So it in battle he might wield,  でもそれは 闘いで彼が振り回すはずのもの、
Johnny’s gone for a soldier.   ジョニーは兵士となって (戦場に)行ってしまったの


Oh ,my baby, oh, my love,     私の可愛い子、 (そして)あぁ、私の愛する人、
Gone the rainbow, gone the dove.  (希望の)虹は消え、(平和の)鳩も飛び去った ※   
Your father was my only love;  あなたのお父さんは 私のたった一人の愛する人だった;
Johnny’s gone for a soldier.  ジョニーは兵士となり、(戦場で)逝(い)ってしまったの ※

(Chorus)
Shule, shule, shule-a-roo,     Go, go, go my love  (※英語の別の歌詞)
Shule-a-rak-shak, shule-a-ba-ba-coo.   Go quietly and peacefully
When I saw my sally babby beal,   Go to the door and flee with me
Come bibble in the boo shy lorey.  And may you go safely, my dear.
(Chorus)
Shule, shule, shule-a-roo,     行きましょう、 私の愛しい人 (※上の和訳)
Shule-a-rak-shak, shule-a-ba-ba-coo.   静かに、 穏やかに進んで
When I saw my sally babby beal,   戸口に立って、 私と一緒に逃げましょう
Come bibble in the boo shy lorey.   そして安全なところまで行きましょう、 愛しい人   



※ buttermilk: ミルクからバターを採取した残りの液。 "buttermilk sky" だと、(バターミルクみたいな)曇り空。
※ fill: 「満たす」とか「いっぱいにする」といった意味だが、ここでは韻を踏むために使っているのでちょっと苦しい使い方になっている。 「泣き声で満たす」とか「涙でいっぱいにする」くらいのニュアンスでしょうか。
※ mill: ミルは「粉挽き場」や「製粉機」のことだが、それを回す「水車小屋」の意味にもなり、ここでは "hill", "fill", "mill" と似たような発音の単語を並べて韻を踏んでいる。 

※ Shule, shule, shule-a-roo: コーラス部の前二行は、アイルランド語の発音を英語風の表記に直したもので、アイルランド語→英語→日本語と重訳すると、こんな感じになります。 なじみの無い外国の言葉はいきなり日本語に機械変換するより、英語に直してから訳す方が間違いは少ないでしょう。
※ sally babby beal: この二行はアイルランド語の歌詞を英語の発音に変えて英語のような歌詞にしてあるので、意味が良く分かりません。 ―というより、わざと英語圏の人には意味が分からないようにして、反戦への思いを託しているのでしょう。 この訳はアイルランド語の歌詞を日本語にしたもので、英語の歌詞とは違います。

※ wheel: "spinning wheel" 「紡(つむ)ぎ車」や「糸車」の略でしょう。 ここでも "wheel", "steel", "wiel(d)" と並べて韻を踏んでいるので、多少苦しい歌詞になっています。
※ Gone the rainbow, gone the dove: 「虹」は希望の、「鳩」は平和の象徴で、それが消え去ったということ。 ここでも "love", dove", "love" と並べて韻を踏んでいる。
※ gone: 「去る」とか「いなくなる」という他に、(人が)「亡くなる」、「死ぬ」という意味にもなります。「死」だと直接的なので間接的な表現になるのは日本語でも同じでしょう。


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テーマ : 洋楽歌詞対訳
ジャンル : 音楽

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Solas

いつも楽しく、勉強しながら拝読しております。

この歌は今は解散してしまったかってのアイリッシュトラッドバンド、
Solasがデビューアルバムで取り上げていますね。
歌手のKaran Caseyは勿論ゲール語が出来ると思うのですが、
この歌は英語で歌っているようです。

では。

DADGAD さん、こんにちは

この曲の基になったものは17世紀の歌なので、いくつかのヴァージョンがあり、色んな人たちが歌っているみたいです。

日本ではPP&M のこのヴァージョンが有名なので採り上げてみましたが、コーラスの部分は英語でもゲール語でもないアルファベット表記なので意味が良く分かりません。
英語の歌詞もあるようですが、ゲール語の方が謎めいた感じがしてこの歌に合っていると思います。

コメントありがとうございました。

No title

懐かしい曲を有り難うございます。
この曲は小学校の頃ゲール語の部分のみ
同級生の間で流行ってました(1968年頃)。
何となくおまじないの呪文みたいな感じがしたのでしょうね。

アールさん、こんにちは。

このゲール語の部分は私も意味が分からないまま、口コピーで真似して歌っていました。 
後でアルバムが手に入ってからも辞書には無い言葉なので、さっぱり意味が分かりませんでしたけど。
でも、そうした歌詞の方が謎めいて聞こえたりして面白いですね。

ありがとう。

不思議に耳にのこる詞なのに分からないままでした。わかりやすく、深みのあるご説明に、こころから感謝いたします。この歌の、こころをとらえる響きの理由が、すこしわかった気がします。楽曲の輝きが、以前よりずっと増しました。

Re: ありがとう。

これは50年ほど前の曲ですが、私が初めてラジオで耳にしたのは45年ほど前の中学生の頃で、不思議な響きのするコーラスの部分がどうしても聴き取れずにいました。

こうした古い記事はコメントでも付かないと自分でも開くことがないのですが、そのお陰でリンクの切れている箇所を修正することができましたし、ついでに YouTube も貼っておきました。
記事がお役に立って何よりです。 コメント、ありがとうございました。
プロフィール

Sumi Haruo

Author:Sumi Haruo
昨年まで老母の介護をしていました。 古い記事へのコメントも大歓迎です。
※記事へのリンクは自由ですが、対訳はあくまでも私個人の解釈なので、訳詞の転載はお断りいたします。
訳詞を掲載したい場合は、記事へのリンクを貼るという形にして下さい。

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