206. Winter ウィンター

Winter ウィンター : The Rolling Stones ローリング・ストーンズ

 何か冬らしい曲をということで選んでみましたが、これはそのものズバリのタイトルですね。 一応歌詞の中にクリスマス・ツリーが出てくるので、ストーンズ流のクリスマス・ソングと言えなくもありませんが・・・(こじつけ)  ミック・テイラーの流麗なギター・プレイも楽しめます。


Alubm : Goats Head Soup
  山羊の頭のスープ
(試聴可)
Released: 1973
Written by: Jagger/Richards
Produced by: Jimmy Miller

  ローリング・ストーンズについて:
Watts, Taylor , Jagger, Richards, Wyman
 フリー百科事典『ウィキペディア』  

 いかにも寒々とした曲ですが、この曲がレコーディングされていた時ストーンズは南のジャマイカにいました。 1972年の11月25日から12月21日までのほぼ一ヶ月、一日24時間スタジオを借り切ってのレコーディングで、最初にレコーディングされたのがこの曲だったとか。 寒くて暗い冬のロンドンから逃れられるだけでもうれしかったようです。

 それにしても何でわざわざジャマイカかというと、アメリカだと一月のスタジオ・レンタル料が馬鹿みたいに高いのと、当時のストーンズはいわゆる問題児でレンタル契約でのトラブルが絶えなかったから―ということらしいです。 「ジャマイカは俺たちがいられる数少ない場所の一つだった。 その時まで唯一許されていたのはスイスだったけど、俺はスキーが好きじゃないから退屈だったしな」―とのちにキースは語っています。 ジャマイカはかつての英国領で、一応英語も通じますしね・・・

 この頃のジャマイカは、1972年にジミークリフ主演の映画「ザ・ハーダー・ゼイ・カム」がジャマイカの状況を世界に知らしめ、1973年にはボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズがメジャー・デビューし、1974年にはエリック・クラプトンがそのボブ・マーリーの曲「アイ・ショット・ザ・シェリフ (I Shot the Sheriff)」をカヴァーして全米1位のヒットとなることで、「レゲエ」という言葉と音楽が次第にポピュラーなものになりつつあった頃と重なります。
 当然ストーンズものちにレゲエを採り入れており、キースに至っては1978年の記念すべきファースト・シングルでジミー・クリフの「The Harder They Come」(「Run Rudolph Run」のB面で、日本版のみA面)を演っていましたからね・・・ (私、当時のシングル・レコード持ってます)

 1973年というとストーンズの初来日で盛り上がっていた頃でもありますが、当時のストーンズはドラッグなど様々な問題を抱える不良児であり、当然日本への入国許可が下りず幻の公演となってしまいました。 (来日が実現したのはずっと後の、1990年になってからです)

 この曲は例によって「Jagger/Richards」作となっていますが、実際はミック・ジャガーとミック・テイラーによるものです。 リード・ギターとスライド・ギターもミック・テイラーで、ピアノはニッキー・ホプキンスですね。 この曲を含むアルバムではミック・テイラーの貢献度がかなり大きいのが聴いていても分かるのですが、作者としてのクレジットはされていません。 そうしたことへの不満が積もり積もって、次のアルバムを最後にストーンズを脱退してしまうのでしょう。 私はこの人のギター・プレイが好きでしたが・・・

 この曲を含むアルバムは Angie(邦題:「悲しみのアンジー」)のヒットもあり、結構売れたみたいです。 「アンジー」は最もストーンズらしくない曲としてちょっと気恥ずかしいくらいですが、こうした曲の方が一般受けするようで全米1位となり、当時の日本でもヒットしていました。
 アルバムのオープニング・ナンバー 「Dancing With Mr D」 はあまりいただけませんが、それ以外は地味ながら佳曲が多く収められています。 「Mr D」というのはDevil (悪魔)の頭文字で「悪魔趣味はもういいよ」―と言いたくなりますが、それも既に遠い昔の話です。
 もう一曲ミック・テイラーのギター・ソロが聴ける Doo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker)」がアルバムからシングル・カットされましたが、この曲「Winter」はシングルにはなっていません。

But I been burnin' my bell, book and candle
 この曲の歌詞で分かりにくいのがこの部分で、「Bell, Book and Candle」というのは調べてみると映画のタイトル(邦題「媚薬」:1958年)にもなっていて、それによると魔女が魔法をかける時に始めと終りの儀式で使う小道具とのことで、映画のシーンにも見られるそうです。 
 他にカトリック教会の儀式にも"curce by bell,book,and candle" というのがあって、これは「鐘(ベル)を鳴らし、破門宣告書を読み上げ、ろうそくの火を消して」異端者を正式に破門するというもの。 でも悪魔とダンスをするストーンズなら前の方でしょう。 それらを燃やしてしまったからもう魔術は使えないということでしょうが、大切な小道具まで燃やしてしまうとは、よっぽどその冬は寒かったのでしょう・・・(違う?)

 このアルバムではキース・リチャーズの歌う Coming Down Again(夢からさめて)も良い出来ですし、ラストを飾る Star Star(スター・スター)は「これぞストーンズ!」と言えるものです。 久しぶりにアルバムを通して聴いてみると、なかなか良くできたアルバムでしたね。 さすがに今聴くには古い音なので、若い人にはお勧めしませんが・・・


●The Rolling Stones (1973年当時のメンバー):
* Mick Jagger lead and backing vocals
* Keith Richards electric guitar
* Mick Taylor electric and slide guitar
* Charlie Watts drums
* Bill Wyman bass guitar

Nicky Hopkins piano , Nicky Harrison strings arrangement

Grooveshark で、 Winter 『ウィンター』を聴く: (5:30)
(※自動的に再生が始まらない時は、上にある「PLAY」をクリックしてみて下さい)

  ●歌詞と訳詞●

And it sure been a cold, cold winter   それは とても寒い、寒い冬だった
And the wind ain't been blowin' from the south   南からでない風が 吹き荒(すさ)び
It's sure been a cold, cold winter    とても寒い、寒い冬だった
And a lotta love is all burned out   多くの愛が すべて燃え尽きてしまうくらいの ※

It sure been a hard, hard winter   それは とても厳しい、厳しい冬だった
My feet been draggin' 'cross the ground   俺の(凍えた)足を 引きずって歩きながら
And I hope it's gonna be a long, hot summer   長く、暑い夏になるのを 夢見ていた
And a lotta love will be burnin' bright   そして多くの愛が 明るく燃え上がることを

And I wish I been out in California   俺は カリフォルニアにいられたらいいのに
When the lights on all the Christmas trees went out   Xmasツリーの灯りが全て消えた時
But I been burnin' my bell, book and candle  でも俺は「ベルと本と蝋燭」を燃しちまったから※
And the restoration plays have all gone 'round  もう元に戻る手立てはどこにもないのさ ※   

It sure been a cold, cold winter   それは とても厳しい、厳しい冬だった
My feet been draggin' 'cross the ground   俺の(凍えた)足を 引きずって歩いていた
And the fields has all been brown and fallow   畑は一面枯れた色をした 休耕中で ※   
And the springtime take a long way around   春はまだ ここからはずっと遠い

(Yeah)
and I wish I been out in Stone Canyon   俺はストーン・キャニオンに いられたらいいのに ※
When the lights on all the Christmas trees went out  Xmasツリーの灯りが全て消えた時
But I been burnin' my bell, book and candle   でも俺は「ベルと本と蝋燭」を燃しちまったから
And the restoration plays have all gone 'round   もう元に戻る手立てはどこにもないのさ    

(Well,well.well...)

Sometimes I think about you, baby   時々俺は お前のことを思っているよ、ベイビィ
Sometimes I cry about you   時々俺は お前を思って泣いているんだ
Lord, well, well, well...

Yeah, I wanna wrap my coat around you, woman   俺はお前をコートで包んでやりたくなる
Yeah, I wanna wrap my coat around you, woman   俺はお前をコートで包んでやりたくなる

(間奏)

Yeah, I wanna wrap my coat around...   俺は・・ 俺のコートで包んでやりたくなる
Baby,...
Sometimes I wanna, keep you warm      時々俺は お前を温めてやりたくなるんだ
Sometimes I wanna, wrap my coat around ya  時々俺は お前をコートで包んでやりたくなる
Sometimes I wanna, but I can't afford you   時々俺は、でも俺にはお前を養う余裕が無い・・・

Sometimes I wanna, wrap my coat around ya   時々俺はお前をコートで包んでやりたくなる
Lord, I ...
Sometimes I wanna,...   時々俺は・・・したくなる
burnin' candle for ya...   お前のために ろうそくを燃やして・・・
Guess I wanna can ...
Sometimes I wanna, wrap my coat around ya   時々俺はお前をコートで包んでやりたくなる
Lord, I cry ...
Yeah,...


※ lotta = lot of を口語で発音したものを、そのまま書き表したもの。 その後の gonna (going to) も同様。
※ bell, book and candle : 同名の映画があって、魔女が魔法をかける時、始めと終りに使う道具とのこと。 カトリックの儀式にも "curce by bell,book,and candle" というのがあって、「鐘(ベル)を鳴らし、破門宣告書を読み上げ、ろうそくの火を消して」正式に破門するというもの。 ストーンズの場合は悪魔とダンスするくらいの仲だから、使用目的は前者の方でしょう。
※ restoration :「修復」、「回復」、「復活」、「元に戻ること」
※ fallow :「休耕中」
※ a long way :"far" と同じで、「遠い」
※ Stone Canyon:「Yellowstone Canyon」、または「Grand Canyon of Yellowstone」の略でしょう。 「Rick Nelson & The Stone Canyon Band」なんていうバンドもありました。
記事編集

テーマ : 洋楽歌詞対訳
ジャンル : 音楽

コメントの投稿

非公開コメント

お久しぶりです

Sumiさま

jmcmyです

いやぁ クリスマスソングって沢山あるものですね
クリスマスのことを歌っているもの、クリスマスをイメージさせるもの

私はクリスマスソングが好きだということはないのですが、クリスマスが近づくと
聴く機会が増える曲があります

Kateさま(Kate Bush)の「December Will be Magic Again」です
詞がわからないのですが、この曲もクリスマスソングと言えるのでしょうかね

クリスマスソングは沢山世にあるのですが、正月ソングというのは童謡以外には
あまり聞きませんね

次は、ヴァレンタインソング特集ですか?(笑)
また忘れた頃にコメントさせて下さい

Re: お久しぶりです

jmcmyさん、こんにちは。
私も定番のクリスマス・ソングはあまり好きではないのですが、この季節になると聴きたくなる曲を集めてみました。

ケイト・ブッシュのその曲は1980年頃のものだと思いますが、検索してみるとクリスマス・ソングなどのアルバムに入っているので、クリスマス・ソングと言って良いのではないでしょうか。

ヴァレンタイン特集はありませんが、夏になると聴きたくなる曲を集めた「サマー・ソング」特集なら夏季限定でやっております。 ですので、今度は夏になったらいらして下さい。
コメント、ありがとうございました。
プロフィール

Sumi Haruo

Author:Sumi Haruo
昨年まで老母の介護をしていました。 古い記事へのコメントも大歓迎です。
※記事へのリンクは自由ですが、対訳はあくまでも私個人の解釈なので、訳詞の転載はお断りいたします。
訳詞を掲載したい場合は、記事へのリンクを貼るという形にして下さい。

全記事タイトル表示リンク

全記事タイトルを表示

カテゴリ
最新記事
最新コメント
検索フォーム
FC2カウンター
フリーエリア


累計: 検索エンジン登録
本日: SEO対策
昨日: メール配信

アクセスアップ

Mail Form:メールフォーム

リンク
電子書籍
Amazonから電子書籍を出版しました
QRコード
QR
RSSリンクの表示