190. Time Waits for No One タイム・ウェイツ・フォー・ノー・ワン

Time Waits for No One タイム・ウェイツ・フォー・ノー・ワン : 
                          The Rolling Stones ローリング・ストーンズ

 この6分半にも及ぶ長い曲はシングル・カットされておらずヒット曲でもありませんが、ローリング・ストーンズの隠れた名曲の一つとして採り上げてみました。


Alubm : It's Only Rock 'N Roll
  イッツ・オンリー・ロックン・ロール

Released: 1974
Written by: Jagger/Richards
Produced by: The Glimmer Twins (Jagger/Richards)

  ローリング・ストーンズについて:
Mick Taylor (左から二人目)
 フリー百科事典『ウィキペディア』  

 It's Only Rock 'N Roll
(たかがロックンロール)というアルバムにはこれといったシングル・ヒットはありませんが、好きな曲が多く当時は良く聴いていました。 当時のLPレコードは1枚2千円でしたが、物価や所得水準は現在の半分以下でしたから、それだけ大切に聴いていたような気がします。

 この曲はアルバムの最初にレコーディングされたそうですが、曲の後半からはミック・テイラーの長いギター・ソロが続くインストゥルメンタルになります。 むしろミック・ジャガーのヴォーカルがフェイド・アウトしてからの方が楽しめるくらいで、最後にニッキー・ホプキンスのピアノが絡んでくる辺りで頂点に達すると言って良いでしょう。 音楽を聴いていて鳥肌が立った、数少ない曲の一つです。

  この曲のギターにはラテンの風味―というよりサンタナの影響が見受けられますが、ミック・テイラーによると一人でブラジルへ旅行した時に受けたインスピレーションが元になっているとか。
 この曲ライヴでは一度も演(や)っていないそうですが、ミック・テイラーとニッキー・ホプキンスがいなければできないから当然かもしれません。 ベスト版にも入っておらず、コンピレーション・アルバムの 「Time Waits for No One: Anthology 1971–1977」「Sucking in the Seventies」(短縮版) に収録されていましたがレコードのみで、CD ではオリジナル・アルバムでのみ聴くことができます。 

 このアルバムを最後にミック・テイラーが脱退しますが、この曲はテイラー無しにはありえなかったでしょう。 作曲は取り決めで「Jagger/Richards」作となっていますが、作詞はミック・ジャガーで曲作りにはミック・テイラーがかなり貢献しているようです。 ただクレジットには載らなかったので、そうしたことも脱退の要因になっているのでしょう。 テイラー自身は「もう彼らとはやりたくなかっただけさ」―と答えていますが・・・

 タイトル曲のIt's Only Rock 'n' Roll(イッツ・オンリー・ロックン・ロール)も元のアイディアはミック・テイラーの後釜として加入するロン・ウッドのものですが、「Inspiration by Ronnie Wood」―としか書かれていません(「作曲者として名前を書かせるのに10年かかったよ」―とのちにロニーは語っています)。 だから曲のアイディアを出したビリー・プレストンやライ・クーダーなども怒ってしまうのでしょう。

 タイトルの Time Waits for No One は 「時は誰も待ってはくれない」 ―というもので、ストーンズ初期のヒット曲である 「Time Is On My Side」 (時は俺の味方なのさ)のアンサー・ソングみたいです。 ストーンズには 「She's So Cold」 という曲もあれば、「She Was Hot」 という曲もあって、その時々で反対のことも言っていますね。
 このアルバムにはテンプテーションズのヒット曲をカヴァーした Ain't Too Proud To Beg(エイント・トゥー・プラウド・トゥ・ベッグ)も収められていますが、メチャクチャかっこいい曲に仕上がっています。 当時としてはめずらしくキースが間奏でソロ・ギターを弾いていて、ピアノはビリー・プレストンです。

 アルバム・ジャケットのデザインとイラストレーションはベルギーの画家 Guy Peellaert(ギイ・ペラート)ですが、CG全盛の今、手描きでこれだけの絵を描ける人は少ないでしょう。 デイヴィッド・ボウイの「ダイヤモンドの犬」のアルバム・ジャケットも描いていますが、残念ながら昨年(2008年11月)に亡くなっています。



●The Rolling Stones: (1974年当時)
 * Mick Jagger – lead vocals, backing vocals, and guitar
 * Keith Richards – electric and acoustic guitar, backing vocals
 * Mick Taylor – electric and acoustic guitar, slide guitar, backing vocals
 * Bill Wyman – bass and synthesizer
 * Charlie Watts – drums

 * Nicky Hopkins – piano
 * Ray Cooper – percussion (時計のようなコチコチ音を含む)


  ●歌詞と訳詞●

[1]
Yes, star crossed in pleasure
   そうさ、星が プレジャー(楽しみ)の邪魔をしているうちに

the stream flows on by 
  (時の)流れは 過ぎ去って行く

Yes, as we're sated in leisure, 
  そうさ、俺たちがレジャーを堪能しているうちに

we watch it fly, yes
   時が飛び去るのを 俺たちは目(ま)のあたりにする

And time waits for no one,
   時は 何ものも待ってはくれない

and it won't wait for me
   そうさ それは俺を待ってはくれない

And time waits for no one,
   時間は 誰も待ってはくれない

and it won't wait for me
   そうさ そいつは俺も待ってはくれないんだ

[2]
Time can tear down a building
   時は ビルディングを倒壊させることだってできるし

or destroy a woman's face. 
  女の顔を (次第に)崩れさせもする

Hours are like diamonds,
  時間は まるでダイヤモンドのよう

don't let them waste
   無駄にしてはいけない

Time waits for no one,
   時は 何ものも待ってはくれない

no favours has he
   時に愛されている者など 誰もいないのだから

Time waits for no one,
   時間は 誰も待ってはくれない

and he won't wait for me
   時は 俺だって待ってはくれないんだ

(間奏)ギター・ソロ:ミック・テイラー   

[3]
Men, they build towers to their passing, yes,
   人々は死後のために (記念の)塔を建てる

to their fame everlasting
   彼らの名声を 永遠のものにしようとして

Here he comes chopping and reaping,
  でもやがて時が来て 切り刻んで刈り取ってしまう 

hear him laugh at their cheating
   時をあざむこうとした彼らを 時があざ笑うのを聞くがいい

And time waits for no man,
   時は 何びとも待ってはくれない

and it won't wait for me
   時間は 俺を待ってはくれない

Yes, time waits for no one,
   そうさ、時は誰一人待ってはくれない

and it won't wait for me
   それは 俺だって待っていてはくれないんだ

[4]
Drink in your summer,
   (人生の)夏の間は 酒を飲んで(楽しみ) 

gather your corn
   (働いて)穀物を 収穫するとしよう 

The dreams of the night time
   夜のあいだに 見る夢は

will vanish by dawn
   夜明けまでには 消え失せてしまうのだから

And time waits for no one,
   時は 何ものも待ってはくれない

and it won't wait for me
   時間は 俺を待ってはくれない

And time waits for no one,
   時は 誰一人待ってはくれない

and it won't wait for me 
  それは 俺だって待っていてはくれないんだ   

No no no, not for me
   俺のことも

No, not for me....
    俺のことだって・・・

(後半インストゥルメンタル)
  ギター・ソロ:ミック・テイラー
  ピアノ・ソロ:ニッキー・ホプキンス


※ star crossed : 「星回りの悪い」 。cross には「邪魔をする」という意味もある。
※ sate : 「堪能する」、「飽き飽きする」
※ he comes chopping and reaping : 時の神はギリシャ神話ではクロノス(ゼウスの父)、ローマ神話ではラテン語でサトゥルヌス(英語読みでサターン)という白髪の老人(巨人)で、手に大鎌を持って全てをなぎ倒してしまうという。He というのは男の神だからです。

※ Drink : 普通は「(酒を)飲む」。「夏を飲む」のではないでしょう。 単純な単語ほど難しいです。
※ summer: 「夏」の他に、「年齢」などの意味もあり。
※ corn : 「とうもろこし」だけでなく、穀物全体を指すこともある。 日本で「飯を食う」と言っても、実際は飯だけ食べるのではないでしょう。
"Drink in your summer, gather your corn" という部分が一番意味が分かりにくく、色々な解釈ができそうです。

テーマ : 洋楽歌詞対訳
ジャンル : 音楽

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Guy Peellaert展

はじめまして

曲も歌詞も好きなストーンズの非有名曲を訳してくださって嬉しいです。

数年前にパリのギャラリーでGuy Peellaert展を見に行ったとき、このアルバムカバーの原画というか、製作過程の作品みたいなのがありました。
(↓ これと同じものを展示していました。)
http://md0.libe.com/photo/46353/?modified_at=1244542814

間近で見ると写真を切り抜いてコラージュにして貼り付けてあったんです。
それを複製して上から着色したのかなあと思います。

展覧会はその他画集でもお馴染みの彼の作品が沢山観られていい思い出です!

Re: Guy Peellaert展

> 数年前にパリのギャラリーでGuy Peellaert展を見に行ったとき、このアルバムカバーの原画というか、製作過程の作品みたいなのがありました。
> 間近で見ると写真を切り抜いてコラージュにして貼り付けてあったんです。
> それを複製して上から着色したのかなあと思います。

イラストレーションの元になったものを見せていただき、ありがとうございます。
最初にアルバム・ジャケットを見た時、人物のいかにもぎこちない動きから写真を元にした絵であることは想像していたのですが、ここまで細かくレイアウトしていたとは思いませんでした。

私もイラストを描く人間として、写真をトレースしなければこれだけリアルに描けないくらいのことは分かりますが、たとえトレースしたところでこれだけ緻密なものは描けないでしょう。
デビッド・ボウイの「ダイヤモンドの犬」のジャケットと並んで、時代を反映する優れたジャケットの一つだと思います。

イラストだけでなく、この曲もストーンズの隠れた名曲の一つとして採り上げてみました。
当時はこのレコードのA面を好んで聴いていて、この曲が終わるとレコード針を指で持ち上げていた頃が懐かしいです。
CDは持っていませんが、以前レコードをデジタル録音してPCに取り込んだ時にも、この曲の後に長いブランクを入れてBサイドの曲と区切っておいたのが、この曲に対する私の小さなこだわりです。 CDでは後半の曲とすぐにつながってしまうので、A面の余韻を楽しむといったことが無くなってしまいましたね。

コメント、ありがとうございました。

40年前に偶然の出会い

Time Waits for No One 

当然、この曲単独では知りようがありません。
アルバム It’s only rock'nroll が有ってこその曲ではあります。
A面の最後 タッタッタ。タッタッタ。で曲が終わっていく。
オートリターンのレコードプレーアーのトーンアームは、この曲を最後に待機位置に戻って、その演奏が終わっていく。
大音量で聴いていたA面は、一旦の静寂にはいり、聞き入っていた私は、タッタッタ。タッタッタの余韻に浸り、しばしの瞑想にはいる。

ですね。この曲は。
LPレコードのA面の最後の曲だったからこそ、この曲のすごさが感じられると思います。(CDだとB面だった次の曲が続けて演奏されるのでこの余韻がありません)

アルバム イッツ・オンリー・ロックン・ロールとの出会いは、高校生だった頃に通学の途中にあった質屋に中古版で置いてありました。
これを買ったのも、話せば長いのですが...。
ビートルズの青版ベストをこの店で買ったのですが、針飛び起こしていたので返品してもらいに行ったら、
「同等品・同価格品にのみ交換なら応じる」
とのことで、ほとんど知らなかったストーンズのこのアルバムをなにげに交換してきた事が始まりです。(交換の選択肢は余りなかったと記憶してます)

当然イッツ・オンリー・ロックン・ロールの曲もいいですが、ティラーのギターの旋律や、何度も言ってますが曲の最後の「タッタッタ。タッタッタ」が頭から離れません。

いままで、歌詞やその意味を知らなかったので、ここにたどり着いてきました。
ありがとうございました。

Re: 40年前に偶然の出会い

昔の曲は大抵当時の思い出と結びついているもので、それだけ思い入れも深いものになっていることでしょう。
レコードを聴く時は、まずレコードをクリーニングしてから針を降ろし、A面が終ってからその後どうするかは聴く人それぞれに委ねられていましたから、CDとは聴き方が違っていましたね。
アルバイトの自給が200円くらいだった頃にLPが2千円ほどしましたから、レコード選びもかなり真剣なものだったような気がします。

この曲はシングルにはなっていませんが、好きな曲なので採り上げてみた次第で、訳詞がお役に立ったのなら何よりです。
コメント、ありがとうございました。

大好きミックジャガー,キース

一番好きな曲です!!初期のバラードも好きです。ミックテイラーってはげちゃったのよね…ビックリした。ブリトニーの元夫のケビンの太った写真にも驚いたです。やはりロックは良いですね、最近のテレビの劣化、アメリカを取り上げろよ!
怒り…
プロフィール

Sumi Haruo

Author:Sumi Haruo
昨年まで老母の介護をしていました。 古い記事へのコメントも大歓迎です。
※記事へのリンクは自由ですが、対訳はあくまでも私個人の解釈なので、訳詞の転載はお断りいたします。
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