133. I Can't Make You Love Me 夕映えの恋人たち

I Can't Make You Love Me 夕映えの恋人たち : Bonnie Raitt ボニー・レイット

 今回は遅咲きの女性シンガー、ボニー・レイットが歌う切ないバラードを取り上げてみます。


Alubm : Luck of the Draw
  ベスト・オブ・ボニー・レイット
(試聴可)
Released: 1991
Written by: Mike Reid , Allen Shamblin
Produced by: Bonnie Raitt , Don Was

  ボニー・レイットについて:
Bonnie Raitt
 フリー百科事典『ウィキペディア』  

 ボニー・レイットは70年代始めからスライド・ギターの名手としても活動していたシンガーですが、ブルースやカントリーなどあまり一般受けしない音楽をやっていたこともあり、大きなヒットには恵まれませんでした。
 80年代の終り頃にワーナーからキャピトルにレコード会社を移籍(放り出された?)、そこで「彼女の歌声はもっと一般の人に受け入れてもらえるはず」―とするプロデューサーと巡り合うことでようやく花開きました。  移籍後の第一弾アルバム Nick of Time (ニック・オブ・タイム)は翌年のグラミーで三部門を受賞し、その他にもデュエット曲での受賞を含め、4つのグラミーを手にしています。

 この曲は1991年にリリースしたアルバム Luck of the Draw
(ラック・オブ・ドロー:意味としてはくじ引きなどの「運任せ」) からの選曲で、このアルバムもグラミーで三部門を受賞しています。
 シングル・カットされた曲としては Something to Talk About(邦題:「愛のストーリー」)が全米5位のヒットを記録していますが(彼女のスライド・ギターが聴けます)、一番人気のあるのはこの曲です。 ボニー自身が気に入ってコンサートでは必ず歌うというだけでなく、この曲のエレクトリック・ピアノ演奏とアレンジを担当したブルース・ホーンズビーもコンサートで女性シンガーがいる時にはこの曲を演奏するようになったとか。 

 この曲を書いた Mike Reid と Allen Shamblin はカントリー・ミュージックのソングライターで、最初はブルーグラス・ナンバーのテンポの速い曲だったそうですが、それをスローに歌うことで歌の力がかなり増すことに気付き、その方法を彼女に試したとか。
 ボニー・レイットはスタジオでのレコーディングを、たった一度のテイクで完了させています。 のちに語ったところによると、「あまりに悲しい歌なので、感情をよみがえらせることができなかったから」と言い、「やったとしても、それ以上のことは起こらなかったでしょう」と。

 曲のアイディアは、「酒を飲んで酔っ払った挙句、彼女の車に発砲した男」の裁判での記事を Mike Reid が読んだことがベースになっているようです。 裁判長が被告の男にした質問、「あなたは今回の事件から何を学びましたか?」―に対し、その男が答えた言葉
"I learned, Your Honor, that you can't make a woman love you if she don't."
「学びました、裁判長、もしその女性が相手を愛せないなら、その人は彼女から愛されることはできない」
 ―という名言(?)が元になりました。 決して本人の体験がベースという訳ではなさそうです。

 ところで最近の洋楽は邦題もカタカナ表記が多くなっていますが、このアルバムは久々に70年代のような困った邦題が付けられています。 カタカナ表記より短くなる点は良いのですが、内容にそぐわないタイトルや口にするのが恥ずかしくなる邦題は勘弁してもらいたいものです。 せっかく曲が良いのだし、「夕映えの恋人たち」って、これ深夜の設定で二人は破局に向かっているのですけどね・・・(汗)



I Can't Make You Love Me 『夕映えの恋人たち』を聴く:
(※自動的に再生が始まらない時は、上にある「PLAY」をクリックして下さい)

  ●歌詞と訳詞●

Turn down the lights   灯りを 落として
turn down the bed   ベッドを 折り返し ※
Turn down these voices   声を 静めるの
Inside my head   私の 頭の中の(声を)
Lay down with me   一緒に 横になって
Tell me no lies   嘘はつかないで
Just hold me close   ただ 私を抱きしめて
Don't patronize -   恩着せがましくしないで ※
Don't patronize me   私を見下したりしないで

(CHORUS:)
'Cause I can't make you love me   だって私は あなたに愛されることができないから 
If you don't   あなたが 愛していないのなら
You can't make your heart feel   あなたの心が 感じることができない
Something it won't   そうできない 何かを
Here in the dark   この 暗闇の中で
In these final hours   この 最後の時に
I will lay down my heart   私は 自分の心を決めるの
And I'll feel the power   私は その力を感じるの
But you won't   でも あなたはそうじゃない
No you won't   あなたは 違うのね

'Cause I can't make you love me   だって私は あなたに愛されることができないから
If you don't   あなたが 愛していないのなら


I'll close my eyes   私の 瞳を閉じれば
Then I won't see   何も見ないでいられるでしょう
The love you don't feel   愛情を あなたは感じていない
When you're holding me   あなたが私を 抱きしめる時に
Morning will come    朝が来たなら
And I'll do what's right   私は しっかりするから
Just give me till then   ただ その時までに
To give up this fight   この争いを やめにしましょう
And I will give up this fight   私はこの争いを 放棄するから

(CHORUS:)
'Cause I can't make you love me    だって私は あなたに愛されることができないから
If you don't   あなたが 愛していないのなら
You can't make your heart feel   あなたの心が 感じることのできない
Something it won't   そうできない 何かを
Here in the dark   この 暗闇の中で
In these final hours   この 最後の時に
I will lay down my heart   私は 自分の心を決めるの
And I'll feel the power   私は その力を感じるの
But you won't   でも あなたはそうじゃない
No you won't   あなたは 違うのね

'Cause I can't make you love me   だって私は あなたに愛されることなどできないから
If you don't   あなたが 愛していないのなら


※ turn down :(灯りを)小さくする、(音量を)小さくする、(襟などを)折り返す
(turn down bed だと「折りたたみベッド」のこと)、全て "turn down" で韻を踏んでいる。

※ Don't patronize me :patronize は「恩に着せる」とか「恩着せがましくする」だが、Don't patronize me だと「私を馬鹿にしないで」とか「私を見下さないで」くらいの感じでしょうか。 
使い方としては「子ども扱いしないで」という意味にもなりますし、語気を荒げて「Don't patronize me!」と叫べば、「馬鹿にすんな!」というニュアンスにもなります。

[patronize] (PATRON+‐IZE:ペィトロナイズ) という単語の 「patron」はいわゆる「パトロン」のことですから、「パトロンのような真似はやめて」という意味にもなります。

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テーマ : 洋楽歌詞対訳
ジャンル : 音楽

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非公開コメント

こんにちは
この曲の歌詞、対訳からこちらにたどり着きました
他のblogやサイトでは
なんだか府に落ちない対訳が多かったのですが

ここにたどり着いたおかげで
やっと納得して歌えます☆
また遊びにに来たいと思いますo(^▽^)o

waka さん、こんにちは。

この曲はとても好きなのですが難点は歌詞の難解さで、「Turn down~」で無理して韻を踏んでいたりするので、日本語に変換するのが難しいです。

色々とエピソードを調べてみて何となくニュアンスは分ったのですが、とても意味を伝えるまでには至らず、今でも自分としては不本意な訳の一つです。 
こうした歌詞は無理して訳さず、英語のまま聴いている方が無難かもしれません。 そうすれば文句も出ませんから・・・ (こうした難解な歌詞は、訳すと大抵はケチが付きます)

でも対訳がお役に立ったなら、やった甲斐があったというものです。
コメントありがとうございました。

えー!ケチがつくのですか?!
そしてこれでも不本意とは
伝えたい所はこれ以上に悲しく切ないのでしょうか(゜o゜;;

私はボニー・レイットを聞きながらこちらの対訳で
光景が充分目に浮かびましたし、また
自分の過去の辛い思い出までも思い出しましたけど、、(笑)
他に難解な対訳たくさんありますが
オープンにしてると
なかなか難しい方もいらっしゃるんですね☆

music blogさんの対訳のおかげで
この曲をとても好きになりました
長くなってしまいました^^;またきます☆










言葉というものは単語一つとっても色々な意味や解釈の仕方がありますから、完璧な翻訳というものはあり得ません。 私が「対訳」という形にしているのも、原文と対比することで原文のニュアンスを感じ取ってもらいたいからです。

最近はそうでもないのですが、以前は難解な歌詞を訳すと大抵はケチが付いたものです。 そうした歌詞は解釈の仕方が人によって違うので、どう訳しても完全なものにはなりません。 原文そのものが書いた本人以外は分からないような歌詞の場合は尚更です。

コメントを承認制にしているのもそうした不愉快なコメントを公開しないためですが、「文句あるなら自分で訳せ」と言いたくなります。 そうしたコメントに限って無責任な匿名コメントなのですけどね・・・

ありがとう[i:63951] 

この曲は~あるお店でかかっていて、マスターに曲名を聞いたのが始まりで、なんともやるせない思いが、湧き出るといいますか、届かない気持ちや、溢れる思いをどう処理するべきなのか、わからなくなるなぁと思って聞いてました。訳をここで見つけ、なんかまたせつなくなってしまいました。ありがとうございました。

Love さん、こんにちは

この曲は誰が聴いてもせつないし、過去に同じような別れを体験した人であれば尚更悲しみが募るでしょう。 もっとも私はこうした悲しい歌も好きなので、ブログで採り上げてみた次第です。 

悲しいことがあると、女の人ならただ泣くだけとか、男なら酒を飲むだけといったことが一般的ですが、そうした悲しみを歌で表現できる人たちは、同時にそれがはけ口にもなっているのだと思います。

こうした曲は、悲しみを上手く表現できない人たちの気持ちを代弁してくれている訳で、それが心の琴線(きんせん)に触れるかどうかは聴く人それぞれに委ねられているのでしょう。
悲しい曲ではあるけれど、同時に悲しみをこれだけ美しく表現している曲も稀で、ただ歎いているだけの歌ではないところが多くの人たちの心に響くのだと思います。

コメント、ありがとうございました。

名曲ですね。

はじめまして。
この曲、George Michaelが歌ってるのを聞いて、好きになりました。
最初、彼のオリジナルだと思ってたのですが、後にボーイズ2メンが歌ってるのを、
聞いてカバーだとわかりました。
オリジナルは女性だったのですね。ちょっとビックリ。

テツさん、こんにちは

私は逆に Bonnie Raitt のオリジナルしか知らず、Boyz II Men も George Michael も歌っているのは聴いたことがありませんでした。
丁度リンクが切れていたのでGrooveshark で調べてみたら、随分と色々な人たちがカヴァーしているのですね。

Boyz II Men や George Michael のカヴァーも聴いてみました。 
どちらも歌のうまい人たちだけになかなか良いのですが、やっぱり私にはオリジナルが一番しっくりきます。 それだけ最初の印象が強いのですが・・・

コメント、ありがとうございました。

こんばんは

初めまして。
私もG.Michaelでこの曲を知ったので彼が元々なのだと思っておりました。
最近、Espen Lindという歌手を知りましてネットで検索していたら彼が
この曲を歌っていたものを見つけたので見たところ、原曲は他の人?ということに気づき再度検索してここにたどり着きました。

女性が歌っていたというのは驚きでした。
ちょうど私が音楽から離れ始めた頃だったので当時のことを知らなかったのもあって本当にびっくりしました。

Espenが歌っているのもなかなかなので機会がありましたら
聴いてみて下さい。おそらく原曲がしっくり来るとは思いますが。

私の場合、洋楽は音で聴くので正直歌詞はもちろん和訳にも
全く興味がなかったので最近あーそういう意味だったんだと気づく
という大ボケ者です。
なので今回意味を知り、意味が分からなくてもせつなさは伝わって
いたのだなあと改めて実感しました。

もうすぐ秋なのでより一層曲の切なさが染みます。

Re: こんばんは

音楽の聴き方や楽しみ方は人それぞれで別にルールはありませんから、自分に合った聴き方をしていれば良いと思います。
この曲は色々な人がカヴァーしているようですが、曲が良いから歌いたくなるのでしょう。

歌詞については参考までに対訳を付けていますが、音楽、特にメロディやリズムに関しては翻訳の必要がないものですから、曲から受ける直感を楽しんでいれば良いのではないでしょうか。
コメント、ありがとうございました。
プロフィール

Sumi Haruo

Author:Sumi Haruo
昨年まで老母の介護をしていました。 古い記事へのコメントも大歓迎です。
※記事へのリンクは自由ですが、対訳はあくまでも私個人の解釈なので、訳詞の転載はお断りいたします。
訳詞を掲載したい場合は、記事へのリンクを貼るという形にして下さい。

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