96. A Horse with No Name 名前のない馬

A Horse with No Name 名前のない馬 : America アメリカ


A Horse with No Name
Alubm : America
America
  ザ・デフィニティヴ・アメリカ (ベスト)
アメリカ(ベスト)
(試聴可)
Released: 1972
Written by: Dewey Bunnell (デューイ・バネル)
Produced by: Ian Samwell (イアン・サムウェル)

  アメリカ (バンド)について:
Dan Peek , Gerry Beckley, and Dewey Bunnell
 フリー百科事典『ウィキペディア』  

 「アメリカ」は、イギリスのロンドンで結成された3人組のグループです。 三人とも父親がイギリス駐留軍のアメリカ人で母親がイギリス人というハーフ(?)として生まれ、ロンドンにあるセントラル・ハイスクールに通っていました。 彼らはほとんど見たことが無い故国の名前をとってバンド名とします。

 メンバーは Dewey Bunnell (デューイ・バネル)とDan Peek (ダン・ピーク)が同じ年で1971年のデビュー当時は20歳、Gerry Beckley (ジェリー・ベックリー:眼鏡)が二つ年下でした。 この曲を書いたデューイは唯一ロンドン生まれですが、幼少の頃にバンデンバーグ空軍基地に住んでいた家族と、テキサスからニューメキシコへの砂漠地帯を通ったことを覚えているといいます。 そうした記憶がこの歌詞の中に出てくる砂漠の風景のベースとなっているのでしょう。

 1971年に出したデビュー・アルバムはあまりパッとせず、マネージャーのジェフ・デクスターはそれをヨーロッパやアメリカでも売るために数曲を加えようと、彼らをモーガン・スタジオに連れて行きます。 その中の一曲がデューイ・バネルによって書かれ「Desert Song」(砂漠の歌)と題されたこの曲でした。 この曲はコンサートやTVで何度か歌われた後、「名前のない馬」とタイトルを変えてアルバムにプラスされ、翌1972年始めには世界的なヒットとなります。 そしてグラミーの最優秀新人賞を受賞しました。
 「名前のない馬」というのは不思議なタイトルですが、「horse」(馬)というのは「ヘロイン」の隠語であり、ドラッグを匂わせるということでアメリカの一部の放送局で禁止となりました。 

 この曲は当時日本でもヒットして、そのアコースティック・サウンドと爽やかなハーモニーで人気がありました。 私も歌詞の意味など判らずにラジオから流れてくる曲に耳を傾けていたものですが、この曲は評論家とか専門家にはあまり評判が良くなかったみたいです。
 「CSN&Y(クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング)に似ている」―とか、「リード・ヴォーカル(デューイ・バネル)がニール・ヤングの歌い方に似ている」―とか言われ、うまい具合に当時チャートで1位だったニール・ヤングの 「Heart of Gold」(孤独の旅路)を抜いてトップになったことでも論争の元になっています。

 他にも「コードが二つしかない」とか、「指二本だけで弦が押さえられる」とか、「音階が二つしかない」・・・とか色々言われましたが、要するに馬鹿みたいに単純な構成ということなのでしょう。 でもヒットする曲って大抵シンプルなものが多いし、誰でも弾ける方が良いと思うのですけど。
 それからこの歌詞は暗喩を含んで意味が判りにくいので、よくパロディにもされたようです。

 この歌のヒットで彼らはマネージャーのジェフ・デクスターを解雇して活動拠点をロサンゼルスに移し、1972年にセカンド・アルバム Homecoming(ホームカミング)をリリースします。
 その中からシングル・カットされた Ventura Highway(ヴェンチュラ・ハイウェイ)がチャートで8位のヒットを記録することで、単なる一発屋ではないことを証明してみせました。 (この印象的なギターのイントロ、ずっと後に登場するジャネット・ジャクソンの曲でそっくりなのがあります)

 1975年には Sister Golden Hair(金色の髪の少女)が再びチャートでNo.1に輝きました(これはジェリー・ベックリーの曲)。 もっともこのギター・リフがジョージ・ハリソンの「マイ・スウィート・ロード」と似ているとかで、また難癖を付けられたりしましたが・・・
 「アメリカ」は日本のTVコマーシャルで 「Simple Life」(シンプル・ライフ)というブランドのイメージ・ソングを歌っていたことがあり(イメージ・キャラクターはピーター・フォンダ)、当時の若者に人気がありました。 アルバムに入っていた曲とはちょっと違いますが・・・

 その後1977年にダン・ピークが脱退しますが、1982年に優れたミュージシャンが参加して作られたアルバム「View from the Ground」からは You Can Do Magic(風のマジック)がアメリカのポップ・チャートで8位となっています。 (作曲は演奏やプロデュースで参加した Russ Ballard :ラス・バラード) 



A Horse with No Name 『名前のない馬』を聴く: (4:12)

  ●歌詞と訳詞●

On the first part of the journey   その旅の 始めの頃には
I was looking at all the life.   ぼくは あらゆる生命(いのち)を見ていた
There were plants and birds.   そこには 植物と 鳥たちがいた
And rocks and things   そして 岩とか 生き物とか
There was sand and hills and rings.   砂と 幾つもの丘と そして「響き」とがあった ※

The first thing I met   ぼくが最初に出会ったのは
Was a fly with a buzz   ブンブンと 羽音をたてる蝿だった
And the sky,   そして空には
With no clouds.   雲も無く
The heat was hot   その熱は 暑く
And the ground was dry   大地は 乾ききっていたが
But the air was full of sound.   でも大気は 音で満ちあふれていた ※

I've been through the desert   ぼくは 砂漠地帯を渡っていた
On a horse with no name   名前の無い馬に またがって
It felt good to be out of the rain.   雨が無くて いい感じだった
In the desert    砂漠の中では
You can remember your name   人は 自分の名前を 忘れずにいられる
'Cause there ain't no one   なぜって そこには誰もいないから
For to give you no pain.   誰も人に (我を忘れるほどの)痛みを与えはしないから

La, la, la la la la, la la la, la, la
La, la, la la la la, la la la, la, la

After two days   二日後に
In the desert sun   砂漠の太陽で
My skin began to turn red.   ぼくの肌は 赤くなり始めていた
After three days    三日後に
In the desert fun   砂漠での歓びは
I was looking at a river bed.   川床を 眺めることだった
And the story it told    でもそれは 話で聞いた物語の
Of a river that flowed   (水が満々と)あふれていた川のこと
Made me sad to think it was dead.   それが涸(か)れたと思うと ぼくは悲しくなった

(コーラス)
You see, I've been through the desert   そう、ぼくは 砂漠を渡っていた
On a horse with no name   名前の無い馬に またがって
It felt good to be out of the rain.   雨が無くて いい感じだった
In the desert    砂漠の中では
You can remember your name   人は 自分の名前を 忘れずにいられる
'Cause there ain't no one    なぜって そこには誰もいないから
For to give you no pain.   誰も人に 苦痛を与えはしないから

La la, la, la la la la, la la la, la, la
La la, la, la la la la, la la la, la, la

(間奏)

After nine days   九日後に
I let the horse run free   ぼくは 馬を解き放してやった
'Cause the desert had turned to sea.   なぜって 砂漠は既に 海に変わっていたから
There were plants and birds   そこには 植物や 鳥たちがいて
And rocks and things   そして 岩とか 生き物とか
There was sand and hills and rings.   砂と 幾つもの丘と そして「響き」とがあった

The ocean is    その海原とは ※
A desert with its life underground   地下の生命(いのち)を含む 砂漠地帯のこと
And a perfect disguise above.   でも その上にあるのは 完全に見せかけだけのもの
Under the cities lies   都市の下に 横たわっている
A heart made of ground   心は 大地から作られたもの
But the humans will give no love.   それなのに人々は (他の人に)愛を与えようとしない

(コーラス)
You see, I've been through the desert   そう、ぼくは 砂漠地帯を渡っていた
On a horse with no name   名前の無い馬に またがって
It felt good to be out of the rain.   雨が無くて いい感じだった
In the desert    砂漠の中でなら
You can remember your name   人は 自分の名前を 忘れずにいられる
'Cause there ain't no one    なぜって そこには誰もいないから
For to give you no pain.   誰も人に 苦しみを与えはしないから

La la, la, la la la la, la la la, la, la
La la, la, la la la la, la la la, la, la
La la, la, la la la la, la la la, la, la
La la, la, la la la la, la la la, la, la...


※ rings :(輪になった)「競技場」や「囲い」の他に、(音が)「鳴り響く」といった意味もある。 その後に「full of sound」(音で満たされていた)というフレーズがあるから、「響き」としておきました。「丘」も「リング」も実際は複数形。
※ full of sound :その前の「rings」(鳴り響く)と呼応していると思われます。
※ The ocean is :これ以下の歌詞は暗喩であり、都市を皮肉った難解なものになっています。 対訳は参考程度に考えて、聴く人各自で意味を解き明かしてみて下さい。
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テーマ : 洋楽歌詞対訳
ジャンル : 音楽

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この曲の 「音階が二つしかない」 というのは誤解ですが、
「コード」(和音) が2つというのは本当です。

Am (エーマイナー) という、ギターを覚えたての人でも
押さえるコードがひとつ目のコードで、
二つ目のコードはそのままの押さえ方で2フレットずらすだけです。
(ずらすだけで押さえ方は簡単ですが響きは複雑になり、
コード名はおそらくGメジャー7系の音です)

指2本だけで押さえるのはちょっと難しいですが、
指3本を使えばこの二つのコードは誰にでも押さえられます。

ただ、簡単だと思ってずっと昔から弾いていましたが、
料理でいえば 「刺身はただ生魚を切っただけのもの」 とは
言えないような奥深さはあるものの、
この二つのコードでレコード録音と同じ響きが出てきて、
「La La LaLaLaLa La La  La La La 」
のコーラス部分だけなら、ギターを持ったその日にでも
誰にでもできるので 「アメリカ」 のファンの方にはおすすめです。

BYマーヒー


これは当時色々と言われていた悪口を並べてみただけですが、私はそんなことはどうでも良くて、「曲が良ければコードなんてどうでもいいじゃないか」―という意見です。

次回はT.Rexをやってみようと考えています。 T.Rex も「何だい、あれ、コードが三つか四つしかないの」―とか言われていましたから。

絵で言えば、色を沢山使えば良い絵になるかといえば、そうでもないのと似ています。
私の好みで言えば、時間をかけて音をいじったものよりも、シンプルなものの方が好きですね。

はじめまして

NHKFMのクロスオーバーイレブンというラジオ番組で洋楽に興味を持ち、
70-80年代の洋楽を未だ捜し歩いていており、
(余り詳しいわけでもありませんが)
このサイトにたどり着きました。
と思ったらおやすみなんですね!

たくさんの詳しい記載があるのでゆっくり拝見させていただきます。
また色んな曲に出会えそうでわくわくしています。
感謝です!

yamao-toto さん、こんにちは

「クロスオーバー・イレブン」は余計なおしゃべり無しで、夜に聴きたい音楽を流してくれるので、私も時々聴いていました。
若い頃はお金が無かったので(今でも同じですが)、そうした番組はありがたかったです。
TVでは「そして音楽がはじまる」という番組があって、毎週名曲と言われる曲を一曲ずつ採り上げてそれを深く掘り下げていましたが、このブログはそうした番組がベースになっています。

古い記事はこうしてコメントでも付かないと開くことが無いのですが、お陰でリンク切れの曲を修正することができました。
既存の記事は330曲ありますので、記事タイトルを表示してお気に入りの曲を探して下さい。 リンク切れで聴けない曲があれば、コメントしていただければ修正しておきます。
コメントありがとうございました。

思い出しました

中学1年の頃、ひとつ上の先輩がひとりで学校帰りの田舎道をこの歌を歌いながら帰っていました。
翌年、入試間近になると、その先輩は単語帳を隠すように見ながら帰っていました。
受験が嫌になった覚えがあります。

素敵なサイトをありがとうございます。

Re: 思い出しました

私も無理に知識を詰め込む受験勉強は嫌で、ほとんどやりませんでした。
それより好きな洋楽の歌詞を辞書を引きながら訳している方が楽しかったし、今でもそうしたことの方が役に立っている気がします。

以前に採り上げた曲は、こうしてコメントでも付かないと開くことがないのですが、そのお陰でリンク切れの曲を修正することができました。
あれからもう40年以上経っているのですね、歳をとるはずです。
コメント、ありがとうございました。

りんくさせていただきました!

マイケルのカバーを聴くのに参考にさせていただきました。勉強になりました。
よろしかったら当ブログへも遊びにいらしてください!

Re: りんくさせていただきました!

この曲がマイケルと関係あるとは知りませんでしたが、記事がお役に立てたなら何よりです。
コメント、ありがとうございました。
プロフィール

Sumi Haruo

Author:Sumi Haruo
昨年まで老母の介護をしていました。 古い記事へのコメントも大歓迎です。
※記事へのリンクは自由ですが、対訳はあくまでも私個人の解釈なので、訳詞の転載はお断りいたします。
訳詞を掲載したい場合は、記事へのリンクを貼るという形にして下さい。

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