307. Old Friends オールド・フレンズ

Old Friends オールド・フレンズ  : Everything but the Girl エブリシング・バット・ザ・ガール

 エブリシング・バット・ザ・ガールとしては6枚目の、初のセルフ・プロデュース・アルバムから、今回はオープニングに収録されているこの曲を選んでみました。


Album : Worldwide (Import)
/ ワールドワイド (紙ジャケ)

Released: 1991
Written by: Ben Watt (ベン・ワット)
Produced by: Everything But the Girl
 エブリシング・バット・ザ・ガール:
Ben Watt & Tracey Thorn
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 エブリシング・バット・ザ・ガールは以前、「Love Is Strange」(ラブ・イズ・ストレンジ:249回目)のカヴァー曲で採り上げたことがありますが、今回は彼らのオリジナルです。 
この曲は 「Twin Cities」(ツイン・シティーズ)とのカップリングでシングル・カットされました。 「Twin Cities」も軽快で楽しい曲ですが、今回はメロディのきれいなこちらを採り上げてみます。

 今から20年前の1991年というと、アメリカでは「グランジ」と呼ばれる人たちが登場して騒がしくなっていた頃ですが、一方のイギリスではそうした流れとは全く無関係にこうした音楽も作られていました。 派手さはありませんが、今聴いても古さを感じさせず、爽やかな風が吹き込んでくるような気分にさせてくれます。

 タイトルの 「Old Friends」(オールド・フレンズ)は辞書を引くと「旧友」くらいの意味になりますが、ここでは「懐かしい人」とか「大切な人」くらいの感じで訳してみました。 「Company」(仲間・友だち)もそうですが、歌の中で恋人みたいな感じで歌っている場合は「友だち」ではおかしいので、自分なりに頭をひねってしっくりする言葉を見つけないと、訳詞としては意味が伝わりにくくなります。
 更にこの歌詞は曲に合わせて途中で区切っているから、次のライン(行)を聴かないと意味が分かりにくくなっています。 歌詞の末尾を見ると、"years" と "ears"、"us" と "bus"、"he" と "me"―と似たような発音の言葉を並べて韻(いん)を踏んでいるのが分かるでしょう。 冬の歌だから年末までとっておいても良いのですが、夏に聴くのも涼やかでよいのではないでしょうか。


Tracey Thorn (トレイシー・ソーン) : Vocals, Background vocals
Ben Watt (ベン・ワット) : Synthesizer, Guitar,, Digital piano, Background vocals

Ralph Salmins : Cymbals, Percussion

Grooveshark で、Old Friends 『オールド・フレンズ』を聴く: (3:47)

  ●歌詞と対訳●

Not for the first time,  これが初めてじゃないわ
I look back - on all those years   これまでの月日を振り返るのは
Not for the last time,  これが最後じゃないわ
names will ring - in my ears  わたしの耳に その名前がこびりついて離れないのは

When there was just a gang of us  彼がただ 私たちの遊び仲間の一人だった頃は
Storming the town by train and bus  電車やバスで 街中をはしゃぎ回っていたものよ
A moment of thought this heart, sends -   この心の 思いのひと時を 
to old friends    懐かしい人に送るわ


Not for the first time,  これが初めてじゃないわ
I look back - on my first love   私の初恋を 振り返るのは
Unable to speak or think or move -  話したり、考えたり、行動したりできないの
hand in glove    (あなたと)一つになって ※

But what of it now and where is he  でも彼は 今どこで何をしているのかしら
He who once meant so much to me  あの頃の彼は 私にとって大切な人だったけど
Because you're not,   でもあなたには そうじゃなかったから、
I can't pretend -    今の私は 強がったりできないの  
now old friends       あの懐かしい人に


I was told love should hold old friends  愛は大切な人を 支えるものだって聞いたわ
I was told love should hold old friends  愛は大切な人を 心に抱(いだ)くものだって
But when you leave,     でもあなたが去る時、 
you will close the door -   あなたは扉を閉ざすでしょう
behind you     あなたの後ろの(ドアを)         
Don't you always    あなたって いつもそうでしょう
And time won't make amends -   そして時は 償いをしてくれなかった ※
to old friends     大切な人に


Standing here with my arm around you - 私の腕をあなたにからめ ここに立てば
life's moved on     人生は (また)動き始め
And all its borderlines -   あらゆるボーダー・ライン(境界線)は、
are being redrawn    (新しく)引き直される

The winter has come, the roads are white  冬がやってきて道路は(雪で)白く覆われ
Everyone's home late tonight  誰もが家路に就くのが遅くなる (特別な日の)今夜
May we stay or will it depend -  私たちは(今夜)泊まるか、それとも場合によっては
as old friends     大切な友だちでいるか
In the end,     結局は、 ※
still ... old friends    まだ・・・ 友だちのままでいるか

Oh, old friends   大切な友だちで、
old friends    友だちのままで・・・



※ hand in glove: 直訳すると「手袋の中の手」で、よく言えば「一つになって」とか「親密になって」、悪く言えば「ぐるになって」。
※ make amends to:(人)に償いをする。
※ In the end: 結局、ついに。


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テーマ : 洋楽歌詞対訳
ジャンル : 音楽

306. Speaking With The Angel スピーキング・ウィズ・ジ・エンジェル

Speaking With The Angel スピーキング・ウィズ・ジ・エンジェル : Ron Sexsmith ロン・セクスミス

 ロン・セクスミスのデビュー・アルバムから、ギターの音色が美しい、ピュアな子供の心を歌ったこの曲を選んでみました。


Alubm : Ron Sexsmith (Import)
  RON SEXSMITH

Released: 1995 (Independent Album : 1991)
Written by: Ron Sexsmith (ロン・セクスミス)
Produced by: Mitchell Froom (ミッチェル・フルーム)

  Ron Sexsmith について:
Ron Sexsmith
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 ロン・セクスミスはカナダのシンガー・ソング・ライターですが、音楽だけでは生活ができず、妻子のために6年ほど郵便配達員をやっていたという経歴の持ち主です。 そしてこの曲を含むファースト・アルバムでメジャー・デビューを果たした頃には、既に31歳となっていました。 ルックスで売れるタイプの人でもありませんが、そうした人の方が純粋に音楽に打ち込むことができるような気がします。

 十代の頃からバンドを組んで活動していたようですが、1985年(21歳)に息子が生れた頃から作曲を始め、1989年(25歳)には次の子供が生まれており、生活のために郵便配達の仕事をしながら曲を書きためていたようです。
 1991年(27歳)に自主制作アルバム「Grand Opera Lane」をリリースしていますが、そのアルバムの中に含まれていたのがこの曲でした。 そのアルバムによって認知された彼はメジャー・レーベルと契約を結び、四年後にはこのファースト・アルバムでメジャー・デビューを果たしています。
 このファースト・アルバムはエルビス・コステロに称賛されたことによって、より広く知られることとなりました。 自主制作アルバムに入っていたこの曲をメジャー・デビュー・アルバムにも収録したのは、おそらく本人も気に入っていたからなのでしょう。 どちらのアルバムも、同じ6曲目に入っているのは偶然でしょうか?

 ファースト・アルバムの最初に収録されている "Secret Heart" (シークレット・ハート)という曲は、Rod Stewart (ロッド・スチュワート)や Nick Lowe (ニック・ロウ)といったベテランたちもカヴァーしています。 リンクを貼っておきますので、興味があればこの曲と併せて聴いてみて下さい。


Speaking With The Angel 『スピーキング・ウィズ・ジ・エンジェル』を聴く: (3:38)
(※開くまでに時間がかかりますが、のんびりお待ち下さい。 しばらくすると、自動的に再生が始まります)

  ●歌詞と対訳●

He don't know how to lie -   彼は(まだ) 嘘のつき方を知らず、
or undermine you    人を傷つけることも(知らない)
He don't know how to steal,   その子は 盗むことも知らないし、
how to deal or deceive   取り引きしたり、だましたりすることも(まだ知らない)

So leave him alone,    だから 彼を独りにしておいて、
set him free    その子を自由にしてあげて ※
'Cause he's speaking with the angel   だって彼は(今) 天使と話しているのだから
Speaking with the angel    天使と話しているんだ
that only he can see    その子だけに見える(天使と)


You'd say he's so helpless,   彼は(まだ) とても無力だって言うけど、
but what about you?   でも あなたはどうなの?
You don't pull the string,   あなただって (後ろで)人を操ることはできないし、 ※
don't you know anything?   何も分かってないよね? ※

Leave him alone,    彼を独りにしておいて、
let him be   その子をそっとしておいてあげて ※
'Cause he's speaking with the angel   だって彼は(今) 天使と話しているのだから
Speaking with the angel    天使と話しているんだ
that only he can see    その子だけに見える(天使と)

Would you teach him about heaven?   彼に 天国について教えてくれる?
Would you show him how to love the earth?  その子に 地球の愛し方を教えてくれる?
Would you poison him with prejudice -   偏見でもって 彼を汚(けが)してしまうの?   
from the moment of his birth?   その子の 生れた瞬間から

(間奏)

He in the name of love,   彼は(今) 愛という名と共にある、
he in the blood of lamb   その子には 柔和な血が流れている ※
He that never lays blame,   彼は決して 人に罪を着せたりはしない、 ※
he don't even know his name   その子は(まだ) 自分の名前すら知らないのだから

So leave him alone,   だから 彼を独りにしておいて、
set him free    その子を 自由にしてあげて
'Cause he's speaking with the angel   だって彼は(今) 天使と話しているのだから
Speaking with the angel     天使と話しているんだ
(the very one)    (まさに その一人と)
that spoke to you and me   あなたや わたしが (かつて)話していた(天使と)

Oh, do you remember?    あなたはもう(そのことを) 覚えていないの?



※ set ~ free: ~を自由にする、~を解放する。
※ leave ~ alone: ~を独りにしておく、~をそのままにしておく、~にちょっかいを出さない。
※ pull the string: 直訳すると「糸を引く」だが、「(背後で)糸を操る」とか「(裏で)人を動かす」といった意味になります。pull the strings と複数形なら、弦楽器の「弦を奏でる」ともなりますけど・・・

※ Don't you know anything? : 分かってないね。(相手に対してあきれた気持ちを表す) 
(You don't know anything 「何も分かってないね」も同様。)
※ let ~ be: ~をほっておく、~をそのままにしておく。
※ lamb: 子羊。柔和な人。 Lamb:神の子羊(イエス・キリストのこと)
※ lay (the) blame: ~のせいにする、~に責任を負わせる、~に罪を着せる(なすりつける)。


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テーマ : 洋楽歌詞対訳
ジャンル : 音楽

305. Raining / Cocco (番外編)

Raining / Cocco (こっこ)

 音楽共有サイトの Grooveshark は洋楽だけでなく、探してみたら Cocco の曲もあったので、今回は久々の番外編です。 沖縄のように特殊な環境をバック・グラウンドに持つ人の音楽は、私の耳にはどこか異国の人の歌みたいに響いてくるのです。 それでいて日本語で歌われるからストレートに入って来るのですが、彼女の歌なら歌詞の意味が分からない外国の人にも何かが伝わるのではないでしょうか。


Raining
Alubm : クムイウタ
(Kumuiuta : 試聴可)
Released: March 1998 (Album Released : May 1998)
Written by: Cocco (こっこ)
Produced by: Negishi Takamune (根岸孝旨

  Cocco (こっこ)について:
Cocco
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 私が最初に Cocco の歌声を聴いたのは、1997年末のセカンド・シングル 強く儚い者たち (作詞:こっこ/作曲:柴草玲)でした。 レゲエ風の曲調もさることながら、男女間の儚(はかな)さを既に見抜いたような歌詞の内容から、私は24~25歳くらいの女性をイメージしていたものです。 だからその後、Inter FM (インター・エフエム)のゲストとして登場した時、まだ二十歳(はたち)というのを聞いて少し驚きました。 そういえばあのユーミンもその年齢の頃には既に三枚のアルバムを出していましたが、才能のある人というのは総じて早熟なものです。

 私がそのFM番組で印象に残ったのは何といっても彼女の歌なのですが、自分のことを「フツーだよ」と言ってみたり、突然「うんちっちー!」などと奇声を発して番組のパーソナリティを困らせていたことも良く覚えています。 深いシリアスな歌詞を書くのに、人前ではわざと馬鹿みたいな真似をしてはしゃいでみせるところは、中島みゆきとも似ているでしょうか。

 この曲はサード・シングルとしてリリースされ、その後「強く儚い者たち」と共にセカンド・アルバム「クムイウタ」に収められました。 アルバムのタイトルは沖縄の方言で「子守唄」のことだそうですが、その他にもアルバムの最後に「ウナイ」(姉妹)というタイトルの曲が入っています。
 このアルバムには一曲目のようにアカペラで歌う静かな曲もあれば、二曲目では一転してヘヴィな曲が飛び出して来たりもします。 シリアス(真面目)な曲もあれば少しふざけた曲もあり、明るさの中にある暗さ、可愛らしさの中に見え隠れする怖さ、正気と紙一重の狂気といったものが一緒くたになっていて、若い人の心と同様その振幅がかなり激しいのですね。

 彼女の書く歌詞の中には少しあぶない語句も含まれていて、この曲も「髪がなくて 今度は」、「腕を切ってみた」、「切れるだけ 切った」―と、リスト・カット(手首を切る)を思わせるフレーズが出てきます。 ヒット曲重視の売れせん狙いならそうしたマイナス・イメージは当然避けるはずなのですが、彼女は割と好きなようにやらせてもらっているのかもしれません。 いくら才能があっても周りの理解がなければ、そうした芽はすぐに摘まれてしまうものですから。
 それにもかかわらず、彼女の歌はCMで使われたり、この曲も「式日」(しきじつ)という映画のエンディングで使われたりしています。 メロディが良いということもあるのでしょうが、やはり「本当のことを言っている」類(たぐい)まれな歌詞が強く人の心を惹き付けるのでしょう。 そうした強烈な個性というのは磁石と同じで、時に強い反発も招くのですが・・・

 この曲は15歳の頃の彼女の心情を歌ったものということで、既にその頃から温められていたもののようです。 或る女性シンガー・ソング・ライターが、「歌詞の内容が全て実体験だったら、とても身が持たない」と言っていましたが、彼女の場合はどうもその実体験が元になっているようなのです。 そうした心の暗部をのぞくことはある意味怖いことでもありますが、だからこそ強烈なリアリティをもって人の心に響いてくるのでしょう。


Raining / Cocco の 『Raining』 を聴く: (Album Version 5:32)
(※開くまでに時間がかかりますが、のんびりお待ち下さい。 しばらくすると、自動的に再生が始まります)

  ●歌詞と対訳●

[1]   (Japanese Lyrics)   /     (English Translation)
Mama yuzuri no akage wo /  The red hair that I got from my mama (mother)
Futatsu ni tabane-te /  It was divided in two
Mitsuami yurete(i)ta /  My braids swinging

"Naze datta no darou" to, ima mo omou /  I still think "wonder why"
Keredo, mada wakaranai yo /  But, even now I don't know

Shizuka ni seki wo tatte /   I stood up quietly from my seat
Hasami wo nigiri-shimete /  Scissors clenched in my hand, and
Osage wo kiri-otoshita /  Cut off my ponytails

(Chorus 1)
Sore wa totemo hareta hi de /  It was a very bright, sunny day, and
"Mirai nante iranai" to omotte(i)ta /  I thought "I don't need the future"
Watashi wa muryoku de /  I was powerless, and
Kotoba wo erabezu ni /  I couldn't choose my words
Kaerimithi no nioi dake - /  Only the smells on the way home,
yasashikatta /  it was gentle (sweet)
"Ikite yukeru" /  "I can keep living"
Sonna ki ga shiteita /  So I thought

Kyoushitsu de dareka ga waratteta /  Someone laughed in the classroom
Sore wa totemo hareta hi de /  It was a very bright, sunny day


[2]
Kami ga nakute, kondo wa /  I had no hair (my ponytails) left, so this time
Ude wo kitte mita /  I tried cutting my wrist
Kireru dake kitta /  Cut as much as I could
Atatakasa wo kanjita /  I felt warmth
Chi ni mamireta ude de /  With my arm covered in blood
Odotte ita-nda /  I was dancing

Anata ga mou inakute /  You were not here anymore
Soko ni wa nani mo naku-te /  There was nothing there
Taiyou mabushikatta /  The sun was dazzling

(Chorus 2)
Sore wa totemo hareta hi de /  It was a very bright, sunny day
Nakukoto sae dekinakute /  I couldn't even cry
Amarini-mo, daichi wa hateshi-naku /  Too (much), the ground was endlessly
Subete wa utsukushiku /  Everything was beautiful
Shiroi fuku de /  (I was) In white wear, (and)
Tooku kara /  From a distance
Gyouretsu ni narabezu ni /  I couldn't stand in line
Sukoshi utatte(i)ta /  I sung a little

Kyou mitaku ame nara /  If it was a rainy day like today
Kitto nakete(i)ta /  Surely I could cry

(Chorus 1)
Sore wa totemo hareta hi de /  It was a very bright, sunny day, and
"Mirai nante iranai" to omotte(i)ta /  I thought "I don't need the future"
Watashi wa muryoku de /  I was powerless, and
Kotoba wo erabezu ni /  I couldn't choose my words
Kaerimithi no nioi dake /  Only the smells on the way home,
yasashi-katta /  it was gentle (sweet)
"Ikite yukeru" /   "I can keep living"
Sonna ki ga shiteita /  So I thought

Kyoushitsu de dareka ga waratte
(i)ta /  Someone laughed in the classroom
Sore wa totemo hareta hi de... /  It was a very bright, sunny day...


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304. Window On The World ウィンドゥ・オン・ザ・ワールド

Window On The World ウィンドゥ・オン・ザ・ワールド : John Hiatt ジョン・ハイアット

 John Hiatt & The Goners と、初めてバックのゴナーズを名義に加えたジョン・ハイアット2003年のアルバムから、今回は スライド・ギター がご機嫌なこの曲を選んでみました。


Alubm : Beneath This Gruff Exterior
  ビニース・ディス・グラフ・エクスティアリア
Released: May 6, 2003
Written by: John Hiatt (ジョン・ハイアット)
Produced by: Don Smith, John Hiatt, The Goners
  John Hiatt :
John Hiatt
 From Wikipedia, the free encyclopedia 

 "Beneath This Gruff Exterior" (このぶっきらぼうな外観にふさわしい)と題されたアルバムは、The Goners (助かる見込みのない人、落ちぶれた人)とジョン・ハイアットが対等の立場で作り上げたもののようで、甘味料ゼロの苦みばしった男のアルバムとなっています。 オシャレな人向けではありません。

 曲のタイトルは文字通り「世界の窓」や「世界を知る機会」といった意味ですが、ジョン・ハイアットの歌詞らしく "sheep" "sleep" "deep" と似たような発音の言葉を並べて韻(いん)を踏みまくっています。 こうした歌詞は一緒に歌うにはリズミカルで楽しいのですが、要するに英語の駄洒落みたいなものですから、日本語にすると支離滅裂な歌詞になってしまい身もふたもありません。 でも、たまにはこんなのも良いでしょう。

John Hiatt & The Goners:
  John Hiatt (ジョン・ハイアット) - Guitar, vocals
  Sonny Landreth (サニー・ランドレス) - Electric Guitar, Slide guitar, Background vocals
  David Ranson (デイヴ・ランソン) - Bass guitar
  Kenneth Blevins (ケネス・ブレヴィンス) - drums, Background vocals

Sonny Landrethサニー・ランドレス)について:
 サニー・ランドレスはゴナーズの一員としてギターを弾いていますが、ソロでもオリジナル・アルバムを何枚も出しているギタリストです。 左手小指にスライド・バーをはめて演奏する「ビハインド・ザ・スライド」という奏法を編み出した人ですが、そのサニー・ランドレスがジミー・バフェットのアルバムでもこの曲を演奏しているので、今回は聴き比べも兼ねて両方を並べてみることにしました。

License to ChillJimmy Buffett: License to Chill (Dig) / License to Chill (2004)

 これは "Licence to Kill" 「殺しのライセンス」をもじったアルバム・タイトルで、アメリカでも「寒い」親父ギャグをかますオジさんはいるのです。
〔ちなみに、"Licensed to Ill" 「ライセンス・トゥ・イル」というアルバムもあります〕

→ Jimmy Buffett (ジミー・バフェット) のヴァージョン(3:35) を聴く:

 この ジミー・バフェット という人、アメリカでは長者番付にも載るくらい有名な人なのですが、日本ではほとんど無名と言ってよいでしょう。 もっとも有名と言ってもそれはベストセラー作家としてであったり、レストラン・チェーンの経営者としてであって、音楽に関しては「お気軽カントリーおじさん」といったところでしょうか。
 この曲を含むアルバムはナンシー・グリフィスなど多彩なゲストを招いてデュエットしておりますが、肩の凝らないアルバムとして安心して聞き流せます。

 サニー・ランドレスはここでもカッコいいギターを弾いていますが、こちらの方が1年ほど経ってこなれているせいか、オリジナルよりも伸びやかに聴こえます。 サニー・ランドレスはジミー・バフェットのツアー・ギタリストとしても参加しており、翌年のライヴ・アルバム "Live at Fenway Park" では "Coral Reefer Band" というバンドの一員として名前がクレジットされていました。

Window On The World 『ウィンドゥ・オン・ザ・ワールド』を聴く: (3:36)
(※開くまでに時間がかかりますが、のんびりお待ち下さい。 しばらくすると、自動的に再生が始まります)

  ●歌詞と対訳●

A broken promise I kept too long   長いこと守り過ぎて 破られた約束
A greasy shade and a curtain drawn   うす汚れたブラインドと 裂けたカーテン ※
A broken glass and a heart gone wrong   割れたグラスと うまくいかない心 ※
That’s my window on the world   それは 俺の世界の窓なのさ ※

A cup of coffee in a shaky hand   震える手の中の 一杯のコーヒー
Wakin’ up in a foreign land   異国の地で 目を覚ます
Tryin’ to act like I got somethin’ planned  何か計画があるかのように 振舞うこと
That’s my window on the world   それは俺の 世界を知る機会なのさ

(Chorus 1)
That’s my window on the world   それは 俺の世界の窓なのさ
Could you stand a little closer, girl   もう少し そばに来てくれないか、ガール
Don’t let mama cut those curls   ママに そのカール(巻き毛)を切らせるな ※
That’s my window on the world   それは 俺の世界の窓だから

(間奏) [Guitar Solo: Sonny Landreth (サニー・ランドレス)]

In broad daylight that circus tent   サーカスのテントが 白昼堂々と ※
pulled up stakes, I don’t know where it went 土地を引払うけど、どこに行くのか俺は知らない ※
A close dark room with a busted vent   通気口の破れた 閉ざされた暗い部屋
That’s my window on the world   それは 俺の世界の窓なのさ

I think about you when I’m countin’ sheep  (ベッドで)羊を数えながら お前のことを思うけど
I think about you, then I can’t sleep   お前のことを思うから、俺は眠れないんだ
I think the ocean is just so deep   その(愛の)大海原は それほど深いと思ってる ※
That’s my window on the world   それは 俺の世界の窓だから

(Chorus 2)
That’s my window on the world   それは 俺の世界の窓なのさ
Could you stand a little closer, girl   もう少し そばに来てくれないか、ガール
The Queen of Sheba meets the Duke of Earle   シバの女王は アールの公爵に会う ※
That’s my window on the world   それは 俺の世界の窓だから

(間奏)

Down on Indiana Avenue   インディアナ通りを行く
Wes and Jimmy, man they played the Blues  ウェスとジミー、彼らはブルースを演(や)るけど
I guess they were only passin’ through  俺は彼らが ただ通り過ぎるだけだと思う
That’s my window on the world   それは 俺の世界の窓だから

(Chorus 1)
That’s my window on the world   それは 俺の世界の窓なのさ
Could you stand a little closer, girl   もう少し そばに寄ってくれないか、ガール
Don’t let mama cut those curls   ママに そのカール(巻き毛)を切らせるな
That’s my window on the world   それは 俺の世界の窓だから

(Chorus 2)
That’s my window on the world   それは 俺の世界の窓なのさ
Could you stand a little closer, girl   もう少し そばに来てくれないか、ガール
The Queen of Sheba meets the Duke of Earle   シバの女王は アールの公爵に会う
That’s my window on the world   それは 俺の世界の窓だから


※ greasy: 脂で汚れた、ベタベタした、グリースを塗った。
※ shade: シェード(日除け)。 (窓に取り付ける)ロール・スクリーン。(巻き上げ式)ブラインド。
※ gone wrong: うまくいかない、まずかった、問題があった。
※ window on the world: 世界の窓、世界を知る機会。
※ in broad daylight: 白昼堂々(公然)と。
※ curl: カール(巻き毛)。 前の行の "girl" と並べて韻を踏んでいるだけでしょう。

※ pull up stakes: 「(土地の境界の)杭を引き抜く」の意味から、「土地を処分して立ち退く」、「転居する」、「引き払う」、「引っ越す」
※ so deep: この辺り、"sheep" "sleep" "deep" と並べて韻を踏んでいます。
※ the Duke of Earle: 「アールの公爵」と訳しましたが、ほとんど意味不明です。 ここも前の "girl" と "Earle" を並べて韻を踏んでいるだけでしょう。
"Duke of Wellington" (ウェリントン公爵)と言えば昔の英国首相ですが、「デューク」の愛称で思い当たるのは"Duke Ellington" (デューク・エリントン)です。


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テーマ : 洋楽歌詞対訳
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303. Night Ride Home ナイト・ライド・ホーム

Night Ride Home ナイト・ライド・ホーム : Joni Mitchell ジョニ・ミッチェル

 4th of July (7月4日)は アメリカ独立記念日 ということで、それにちなんだ曲を選んでみました。 もっとも祝っているのは白人の人たちで、土地を奪われた Native (先住民)たちにとっては受難の日であり、カナダ出身のジョニ・ミッチェルにとっても隣の国の祝日といった感じで、割と冷めた目で眺めているようです。


Alubm : Night Ride Home (Import)
  ナイト・ライド・ホーム

Released: February 19, 1991
Written by: Joni Mitchell (ジョニ・ミッチェル)
Produced by: Joni Mitchell, Larry Klein (ラリー・クレイン)

  ジョニ・ミッチェルについて:
Joni Mitchell
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 この曲は同名アルバムのタイトル曲ですが、シングルにはなっていません。 ハワイの月夜からインスパイアされた曲ということで、「フラ・ガール」、「ウクレレ・マン」、「打ち上げ花火」など、切れ切れに並ぶ歌詞からハワイで独立記念日を過ごしている情景が浮んできます。 仕事を休んでハワイでの休暇を楽しんでいるのか、「金曜日までは電話もなく」、「抱(かか)え過ぎの仕事もない」といったフレーズが続きます。 ジョニの歌詞らしく、「キャタピラー・トラクター」とか「シュールレアリスト」といった変な言葉も出てきますが・・・

 タイトルにある 「Ride Home」 は車や電車に乗って「家へ帰る」という意味ですが、「Night Ride Home」 と単語が三つ並ぶと、「夜が家にまたがる」―みたいな光景を想像をしてしまうのは私だけでしょうか・・・
 車で家へと向いながら、隣の席には愛する人が乗っている。 当時の旦那様はラリー・クレインでしたが、夫婦水入らずで束の間の休暇を楽しんでいたのでしょう。 7月の始めではありますが、終始コオロギの音(ね)がバックに響いています。


Joni Mitchell: vocals, guitar, keyboards
Bill Dillon: pedal steel guitar
Larry Klein: bass, percussion
Alex Acuña: percussion

Night Ride Home 『ナイト・ライド・ホーム』を聴く: (3:21)

  ●歌詞と対訳●

Once in a while   たまに ※
In a big blue moon   大きな青い月の時に
There comes a night like this  こんな夜の訪れることがある
Like some surrealist  シュールレアリスト(超現実主義者)みたいな人たちが ※
Invented this 4th of July  発明した この7月4日(独立記念日)に ※
Night ride home   夜 (車で)家へと向かう


Hula girls   フラ(ダンス)を踊る娘たちと
And caterpillar tractors in the sand  キャタピラー・トラクターは砂の上
The ukulele man   ウクレレを弾く人
The fireworks   (記念日を祝う)打ち上げ花火
This 4th of July   この 7月4日(独立記念日)の
Night ride home   夜に (車で)家へと向かう

I love the man beside me   私の愛する人は 隣(の席)にいる 
We love the open road   私たちは (急ぐハイ・ウェイより)一般道が好き ※
No phones till Friday  金曜日までは 電話も無く
Far from the overkill   やり過ぎたことは無いし ※
Far from the overload    抱(かか)え過ぎの仕事も無い ※

Back at the bar   バーの 奥では ※
The band tears down  バンドが (内輪もめで)解散しそう ※
But out here in the headlight beams  でも戸外の ヘッドライトの光線の中では
The silver powerlines   銀色の送電線が ※
Gleam   キラリと輝く
On this 4th of July  この 7月4日(の独立記念日)に
Night ride home   夜 家へと向かう


Round the curve   カーブを曲がると
And a big dark horse   大きなダーク・ホースが ※
Red taillights on his hide  赤いテールライトを(その革の上に)つけ
Is keeping right alongside   ずっと右側に平行して並びながら
Rev for stride    走りの速度を上げる ※
4th of July   7月4日
Night ride home  夜 家へと向かう

I love the man beside me   私の愛する人は 隣(の席)にいる 
We love the open road   私たちは (ハイ・ウェイより、ゆったりした)一般道が好き
No phones till Friday  金曜日までは 電話も無いし
Far from the undertow   逆流では無いし ※   
Far from the overload    抱え過ぎの仕事も無い


Once in a while   時々
In a big blue moon   大きな青い月の時に
There comes a night like this  こんな夜の訪れることがある
Like some surrealist  シュールレアリスト(超現実主義者)みたいな人たちが
Invented this 4th of July  発明した この7月4日(の独立記念日)に
Night ride home   夜 (車で)家へと向かう

Night ride home   夜 (車で)家へと帰る
Night ride home   夜 (車で)家へと向かう・・・


※ once in a while: 時々、たまには、時折。
※ surrealist: 超現実主義者(シュールレアリスト)
※ 4th of July (July 4th): 7月4日はアメリカの独立記念日。
※ ride home: (車や電車で)家へと向う、家へと帰る。
※ open road: 一般道。 公道。
※ far from: 決して~ではない。 ~からは程遠い。
※ overkill: 1.過剰殺戮。 2.やり過ぎ、行き過ぎ。 (たぶんダブル・ミーニングで、両方を掛けているのでしょう)
※ overload: 過重量。 過重負担。

※ back at: ~の奥で。 back at a room:部屋の奥。
※ tear down: 1.壊す、解体する。 2.引き下ろす、引き裂く。 3.傷つける、けなす。
※ powerline: 送電線。 電力線。
※ dark horse: ダークホース(穴馬)。未知の実力を持つ競争相手。 たぶん横に並んだ暗い色の大きな車を馬にたとえているのでしょう。
※ rev: (エンジンなどの)回転を急に上げる。 ~の速度を上げる。
※ stride: 1.歩幅。 2.歩き方、走り方。 
※ undertow: 1.引き波。 2.底引き波(海面とは逆向きの底流)、逆流。   


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テーマ : 洋楽歌詞対訳
ジャンル : 音楽

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Sumi Haruo

Author:Sumi Haruo
昨年まで老母の介護をしていました。 古い記事へのコメントも大歓迎です。
※記事へのリンクは自由ですが、対訳はあくまでも私個人の解釈なので、訳詞の転載はお断りいたします。
訳詞を掲載したい場合は、記事へのリンクを貼るという形にして下さい。

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